自然エネルギー:福島コミュニティの希望 英語オリジナル
その景観の美しさと住民の温かさにもかかわらず、福島県や福島市の名前は、原子力事故と結びつけられることが多くなっている。このイメージを覆すためには、福島県が「すべてのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う」という賢明な決断を下したことを、基盤にするべきではないか。福島は、自然エネルギー先進自治体として、世界に名を馳せることができるようになるかもしれない。
風力や太陽光などの自然エネルギーは、全てのエネルギーを環境に優しく供給できるだけではなく、経済を再生させる可能性も秘めている。壊滅的な被害を受け、住民が避難を余儀なくされたこの地域においては、特にそうだ。
農業従事者は、畑に風力発電機や太陽光パネルを設置し、時には穀物を作る代わりに発電をして、地域の経済活動や地域内収入源の新しい基盤を創ることができるだろう。自然エネルギーを基盤とするこの新しい経済は、数百、数千もの雇用を創出できる。似たような例は、デンマークやドイツなどの国々の何百もの自治体で、すでに目にすることができる。
地域のコミュニティ――自然エネルギーに託す希望
被災地では地域のコミュニティが復興をけん引しつつあるわけだが、このような事例は、ほかの多くの地域にも新しい可能性をもたらす。政府、産業界、社会の意思決定者が、その経験から学び、恩恵を受けることができるからだ。
自然エネルギー導入の推進役および投資家としてのコミュニティの重要性は、しばしば過小評価されている。コミュニティは社会支援の面で重要な役割を果たすだけではない。地域所有と受容性の高さが相互関連していることは、科学的に証明されているのだ。
特に先進工業国のコミュニティは、発電に投資できるだけの財源を持っている。投資家としての役割を引き受け、電力のような公共インフラへの投資に必要な資金を調達することにより、公共支出の財政負担を軽減することさえ可能となる。その結果、製造業も、安定的で成長を続ける国内市場から大いに利益を享受することができるだろう。
風力発電――活用されていないエネルギー源
昨今、発電への新規投資の中で風力が最も安価なことに疑念の余地はない。その上、風力発電所は非常に短期間で設置できる。2013年には、中国国内だけで16GWの風力が建設された。社会的・経済的構造が日本に類似しているドイツでも、たった1年間で3GWの風力が増設された。これは、現在の日本の風力発電総容量を上回る量である。今日では国内電力の約10%を風力が占めている。デンマークでは既に、電力の3分の1が風力で賄われている。デンマークやドイツにおいてこのような変化を可能にしたのは、主にコミュニティからの投資であった。その資金は、輸入エネルギー燃料の購入にあてられる代わりに、地元コミュニティ内に留まり、雇用と所得を創出している。
日本の産業・科学分野における優越性は、地元コミュニティからの支援と相まって、日本でも同様の発展を遂げ、風力ブームを起こすための、絶好の条件である。風力産業の擁護者、国内外の有識者、そしてコミュニティの投資家の間での連携が、日本が風力発電分野におけるグローバルチャンピオンになるための重要な一歩となるだろう。