軌道に乗ってきたドイツの洋上風力発電
進展の遅れていたドイツの洋上風力発電が、軌道に乗ってきたようだ。海の中での土台の構築や風車が取り付けられる柱の建設に問題が生じたり、送電網が欠けていたり、接続が上手くいかなかったりした過去の問題が克服されたからだ。2014年末に稼働していた北海とバルト海洋上の風力発電装置の出力は合計で1050MWだった。これは原子炉約1基分に相当する。装置はそれぞれ、年間平均4000〜4500時間稼働すると想定されている。
昨年、全ての発電装置が陸への送電網に接続されて本格的に稼働を開始したドイツの大規模ウィンドパークは2か所、装置の一部のみが接続されたパークは3か所だった。 合計では142基、出力530MWの発電装置が完成し、送電を始めたことになる。これは2013年の倍以上に当たる。パーク3か所における残りの装置もこの春頃までに送電網に接続されて、本格的な稼働が始まる予定だ。
昨年は更に268基の洋上風力発電装置が建設された。これらは追って送電網に接続される。また、発電装置用に海中に建設された土台は211個だった。関係者によると、送電網接続を含む発電装置の建設期間が3〜4年という時代は終わり、今後は2年以内に全てが完成するのが普通になるようだ。「これからは石油やガス業界の装置(採掘プラットフォームなど)の建設と同程度の速度で風力発電装置も作れるようになります」とオフショア風力発電関連会社の業界団体であるオフショア風力発電基金のノーベルト・ギーゼ氏は説明する。「2015年の建設速度は、2014年より必ずもっと加速されるはずです」と胸を張るのは風力発電のロビー団体、風力発電エージェンシーのクラウス・マイヤー氏だ。
関係者は、ドイツ政府が北海とバルト海に2020年までに完成を見込んでいる出力合計6500MWの風力発電装置 の約半分に相当する装置が、今年末までに完成することも充分考えられると期待している。
政府が見込んでいる出力の残り半分、約3250MWの風力発電装置に関しても、大半の融資が 確保されているようだ。既に確約されている50億〜60億ユーロという資金は、パーク1か所当たり約10億〜15億ユーロといわれる大規模ウィンドパークの建設費に照らし合わすと、政府の示す目的値達成に必要な資金の約80%に当たるという。残るのは20%だけだ。このように融資がスムースに進む背景には、昨年夏の再生可能エネルギー優先法( 略称:再生可能エネルギー法、EEG)の改正がある。それまで不確定だった洋上風力発電電力に支払われる固定買取り価格が、2019年まで1kWh当たり19ユーロセントに決定されたからだ。
また、特に問題の多かった発電装置と送電網との接続に関しては、 監査当局である連邦ネット・エージェンシーと北ドイツ地域の送電網の建設・運営に携わる送電網運営会社のテネットの間で、ウィンドパークの建設許可と送電網の構築許可を連結されることが決められた。
残る問題は今のところとりあえず、1kWh当たり19ユーロセントという高い固定買取り価格の支払いが終わる2019年までに、洋上風力発電に競争力が付いていて、他の電力と太刀打ち出来るようになっているかどうかということのようだ。