ASG構想のこれまで
アジア国際送電網(ASG)構想は、2011年9月に発表されました。国際情勢の変化もあり、自然エネルギー財団では、東アジアにおける国際送電網構築の議論を現在は活発に行っていません。また、 "Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization (GEIDCO)" からは、2024年3月に脱退しました。このページでは、2019年11月までの活動を紹介しています。
国際的には現在でも国際送電網に関する調査研究、議論が活発に行われています。国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)が主導する"Green Power Corridor"、アジア開発銀行とモンゴル政府が中心となっている"Northeast Asia Power System Interconnection"などのプロジェクトでは、東アジアを対象とした国際送電網が議論されています。また、英国政府とインド政府はCOP26以降、"Green Grid Initiative / One Sun, One World, One Grid"と呼ばれる、太陽光と風力を最大限利用するため、各国の送電網を接続する構想を推進しています。加えて、大量の自然エネルギー電力を系統に統合し安定的な電力供給を実現する方法については、蓄電池コストの急激な低下を受けてオーストラリアなどで新たな試みが進んでいます。
自然エネルギー財団では、こうした新たな技術開発の動向、国際情勢の変化なども含め、日本にふさわしいエネルギーシステムのあり方を検討していきます。
ASG構想のこれまで
- 2011年 9月
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孫正義 自然エネルギー財団設立者・会長が、「アジアスーパーグリッド構想」を発表
- 2014年 1月
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アジアスーパーグリッドに関する報告書の公表と国際シンポジウムの開催
自然エネルギー財団では、エネルギー憲章事務局、モンゴルエネルギー省などとともに、アジアスーパーグリッドに関する国際研究を進め、2014年1月に報告書 "Gobitec and Asian Super Grid for Renewable Energies in Northeast Asia"がとりまとめられました。
この報告書の公表を踏まえ、2014年1月28日には、ロシア、モンゴル、韓国、日本から政府機関、地方自治体、研究機関、企業などの参加を得て、国際シンポジウム「アジアスーパーグリッドによる国際連系の可能性」を開催しました。
- 2016年 3月
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国際送電網の構築をめざす "Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization (GEIDCO)" の創設
2016年3月、中国国家電網(SGCC)のよびかけにより、自然エネルギーの活用のための世界的な送電ネットワークの実現をめざす国際的非営利団体、"Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization (GEIDCO)" が設立され、財団は理事会メンバーとして参加しました。
"Global Energy Interconnection"は、ASG構想の世界版であり、国際的な自然エネルギーの活用を促進するものです。GEIDCOには、中国、韓国、ブラジル、ロシアなどの電力会社、大学・研究機関、送電分野の世界的企業などが参加しています。
GEIDCOの会長には、中国国家電網会長の劉振亜(Liu Zhenya)氏が就任し、副会長には、自然エネルギー財団設立者・会長の孫正義氏(ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役社長)が、元米国エネルギー庁長官のスティーブン・チュー氏とともに就任しました。
(自然エネルギー財団は、2024年3月にGEIDCOから脱退しました。)
- 2016年 9月
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財団設立5周年シンポジウムで、中国、ロシア、韓国の
電力業界のトップが参加するセッションを開催2016年9月9日に開催された自然エネルギー財団設立5周年記念シンポジウムでは、孫正義ソフトバンクグループ代表(自然エネルギー財団設立者・会長)と中国、ロシア、韓国の電力業界を代表するスピーカーによる講演とディスカッション「脱炭素をめざすアジア」が行われました。
孫正義氏は、2011年9月に初めて提唱した「アジアスーパーグリッド」構想の内容と今日までの展開について講演し、グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構のリュウ・ゼンヤ会長、韓国電力公社のチョ・ファンイク社長も、世界とアジアをつなぐ国際送電網構想を紹介しました。
またこのセッションでは、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスのマイケル・リーブリック氏による講演も行われ、パネルディスカッションには、ロシアの電力会社ロスセチのオレグ・ブダルギン氏、ロッキーマウンテン研究所のエイモリー・ロビンス博士も参加しました。
- 2017年 4月
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「アジア国際送電網研究会 中間報告書」の公表
2016年7月に、自然エネルギー財団が事務局となり、電力系統やエネルギー政策の研究者、自然エネルギーの専門家、関連する企業関係者などをメンバーとして「アジア国際送電網研究会」が設置されました。
2017年4月には、それまでの検討をまとめた「中間報告書」が公表されました。
- 2017年 5月
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シンポジウム「国際送電網が切り開く電力ビジネスの未来」を開催
自然エネルギー財団は、「アジア国際送電網研究会 中間報告書」の公表を踏まえ、シンポジウム「国際送電網が切り開く電力ビジネスの未来」を開催しました。
海外で国際送電網の拡大している背景と理由、送電ビジネスの新たな展開、北東アジアにおける可能性、日本の電力制度改革に提起する課題などを国内外の専門家をお招きし議論しました。
- 2017年 9月
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海外視察(北米)
自然エネルギー財団は、海外の国際送電網の実情を調査するため、アメリカ合衆国及びカナダの国際連系について視察調査を行いました。
- 2017年 10月
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国際会議「アジア国際送電網 ―北東アジアで実現するために―」をソウルで開催
自然エネルギー財団は、韓国エネルギー研究所、アジア開発銀行(ADB)、韓国大統領諮問北方経済協力委員会、韓国産業通商資源省との共催で、韓国ソウルにおいて国際会議「アジア国際送電網 ―北東アジアで実現するために―」を開催しました。
韓国は「エネルギー政策の大転換」を打ち出し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「北東アジア スーパー グリッド」実現にむけた協議を各国に呼びかけています。"From Concept to reality"と題された今回の会議では、韓国、日本、中国、モンゴルから政府関係者、研究機関、エネルギー連系を推進する企業の代表者があつまり、アジア国際送電網の実現に向けた道筋を議論しました。
- 2018年 6月
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「アジア国際送電網研究会 第2次報告書」の公表
アジア国際送電網研究会が「第2次報告書」を公表しました。
この「第2次報告書」は、日本-韓国、日本-ロシア間の国際送電線ルートを具体的に想定し、建設費の試算と収益計算結果を公表した、日本で初めてのレポートです。
- 2018年 7月
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シンポジウム「日本における国際送電網の実現をめざして」を開催
自然エネルギー財団は、「第2次報告書」の公表を受け、シンポジウム「日本における国際送電網の実現をめざして」を開催しました。日本、韓国、ロシアから、エネルギーの専門家や企業、研究者が参加し、変化する東アジア情勢を見すえつつ、日本における国際送電網の意義や実現への展望などを議論しました。
- 2018年 10月
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海外視察(ヨーロッパ)
自然エネルギー財団は、海外の国際送電網の実情を調査するため、スペイン及び英国の国際連系について視察調査を行いました。
- 2019年 7月
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「アジア国際送電網研究会 第3次報告書」の公表
アジア国際送電網研究会が「第3次報告書」を公表しました。
本報告書では、国際送電網が有する幅広い社会経済的便益を精査し、国際送電網構想に対してしばしば言及されるエネルギー安全保障上の懸念について考察しています。
- 2019年 7月
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2019 FUTURE CONSENSUS DIALOGUEの開催
自然エネルギー財団、財団法人 與時齋(ヨシジェ)、安全保障外交政策研究会は「2019 FUTURE CONSENSUS DIALOGUE」を東京で開催しました。会議では、北東アジア間の政治的課題、エネルギー協力、金融協力などについて議論されました。
- 2019年 10月
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North-East Asia Regional Power Interconnection and Cooperation Forum 2019の開催
国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)、韓国外務省、韓国電力公社、アジア開発銀行は、共同でNorth-East Asia Regional Power Interconnection and Cooperation Forum 2019(韓国ソウル)を開催しました。会議では、現在北東アジア地域で進む計画の最新情報などが紹介され、今後の展望について議論されました。自然エネルギー財団のトーマス・コーベリエル理事長、大林ミカ事業局長、市村将太上級研究員が、講演者・パネリストとして登壇しました。
- 2019年 11月
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国際シンポジウム「連系するエネルギーシステムと自然エネルギー拡大」を開催
自然エネルギー財団は、「第3次報告書」の公表を受け、国際シンポジウム「連系するエネルギーシステムと自然エネルギー拡大」を開催しました。日本のみならず中国、韓国、米国、ドイツから自然エネルギーや送電網に関する専門家を招き、東アジアで拡大する自然エネルギーの現状と、東アジア各国を先進的な送電網で連系していく可能性について議論しました。