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コメント石炭火力の完全なフェーズアウトを経済産業省の方針では2030年に3000万kWの石炭火力を利用

2020年7月3日

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公益財団法人 自然エネルギー財団は、本日梶山経済産業大臣が記者会見で低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明したことを受けて、コメントを発表します。

梶山経済産業大臣は、本日の記者会見で低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると表明した。2018年に策定された現行のエネルギー基本計画の中でも、既に「非効率な石炭火力発電のフェードアウトに向けて取り組んでいく」という方針が盛り込まれている。今回の発表はこの既定方針を具体化したものであり、新たな方向性を提起したものではない。

具体的な方策は、7月中にも検討を開始し年内を目途に具体策をまとめるとしているが、各種の報道を踏まえれば、今回の経済産業省の方針には、以下のような3つの懸念がある。

1.「100基休廃止」でも、2030年時点で3000万kWの石炭火力を利用

休廃止の対象となる100基には10万~20万kW程度の小規模のものが多い。これに対し、2030年でも利用を予定している「高効率」石炭火力は、60万kW~100万kWクラスの大規模のものが中心であり、合計約2000万kWの発電設備が存在している。これに現在建設中の新設石炭火力を加えれば2900万kW程度となる。更に非効率石炭火力の1割は残されるので、全体では、2030年時点でも3000万kW程度の石炭火力が残存することになる。

パリ協定のめざす二酸化炭素削減目標を実現するためには、先進諸国では2030年までに石炭火力発電の利用を全廃することが必要とされており、欧州各国をはじめ多くの国が2030年前後の全廃をめざしている。今回の方針は、こうした世界の努力とは全く異なる。

2. 二酸化炭素排出がほとんど変わらない高効率石炭火力推進路線の維持

エネルギー基本計画では、非効率な石炭火力のフェードアウトと同時に「石炭火力発電の高効率化・次世代化を推進する」と明記しており、今回の公表でも高効率と称する石炭火力を維持することを明確にしている。これらの高効率石炭火力も、二酸化炭素排出量は「非効率」なものより数%しか減らない。日本が批判されてきたのは、実際には排出削減に殆ど役立ない「高効率石炭火力」をクリーンコールと称して推進してきたからに他ならない。今回の発表はこの「クリーンコール」路線を継続することを明確にしたものである。

3. 26%維持のため更に長期の排出ロックインの危険性

エネルギー基本計画では「2030年に石炭火力で26%を供給」するという方針を示している。2030年に残存する3000万kWで供給可能なのは、20%程度と見込まれるため、26%を供給するためには、更に多くの石炭火力発電を新設することが必要になる。巨額の初期投資が必要な石炭火力は、いったん建設されれば40年程度の利用が目指される。このようなことが行われれば、今世の後半の長い期間にわたって大量の二酸化炭素の排出を続けることになる。
 
気候危機回避に必要な二酸化炭素大幅削減を確実に実現するためには、エネルギー効率化の徹底と自然エネルギーの大幅拡大を進める以外にはない。大手電力会社を含め、多くの日本企業が国内外での自然エネルギー開発ビジネスに参入している。石炭火力からの明確なフェーズアウトを進めることは、日本の新たなビジネス機会を作り出すためにも必要だ。

本日の梶山大臣の会見では、自然エネルギーの導入を加速化するよう基幹送電線の利用ルールの抜本見直しを進める方針も示された。自然エネルギー財団は、送電網の効率的な利用のため、自然エネルギーが優先的に接続され発電・給電される仕組みの実現を求め、各送電事業者によるコネクト&マネージの徹底とさらなる制度改革を提唱してきた。こうした方向での見直しが進められれば、エネルギー転換を大きく促進することになる。

自然エネルギー財団では、2030年の持続可能なエネルギーミックスの姿とその可能性を示すため、近日中に提言を公表する予定である。2021年にはエネルギー基本計画の改定が行われると見込まれている。この改定において、石炭火力発電を完全にフェーズアウトし、自然エネルギー発電を中心とするエネルギー転換の方向性を明確にすることが、今回の経済産業省の方針を、気候危機に立ち向かう世界の努力と整合するものに発展させる道である。自然エネルギー財団は、今後とも、関係省庁、電力会社との建設的な意見交換を進めていく。



<関連リンク>
[インフォパック] 石炭火力輸出の中止と自然エネルギー支援への転換が必要な4つの理由(2020年6月)
[インフォパック] アジアで進む脱石炭火力の動き(2020年4月)
[インフォパック] 日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬(2020年2月)
石炭火力発電投資の事業リスク分析:エネルギー転換期における座礁資産リスクの顕在化(2019年10月)


 

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギーで豊かな日本を創ろう!アクション
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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