環境省は、石炭火力輸出政策の見直しのために、本年4月、「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」を設置しました。自然エネルギー財団は、環境省からの依頼を受け、同検討会に新たなインフォパック「アジアで進む脱石炭火力の動き」を提出しました。
本資料では、日本と同じく石炭火力輸出を行ってきた韓国、中国の変化を紹介するとともに、日本の主要な輸出先であったベトナムやインドネシアでの最新の動向を示しています。また、国際エネルギー機関(IEA)が東南アジアの持続可能シナリオで示したような自然エネルギー拡大が現実化しつつあることも紹介しています。
政府には、これらの新たな動きも踏まえ、早急に石炭火力輸出政策を中止することを求めます。
インフォパック
アジアで進む脱石炭火力の動き
まとめ
1 これまで日中韓3か国が東南アジアなど世界への石炭火力輸出政策の大半を行ってきたが、韓国では石炭推進政策の見直しが進んでいる。中国の石炭火力輸出プロジェクトも頓挫する事例が発生しており、輸出規模が減少している。
2 ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、マレーシア、カンボジアなど、東南アジア各国で、自然エネルギーの急速な価格低下、電力供給力の過剰などにより、石炭火力からの脱却が始まっている。
3 東南アジアの電力需要は2040年までに倍増する見込みだが、IEAは「世界エネルギー見通し2019 (WEO2019)」の中で、増加分の全てを自然エネルギーが満たし、天然ガス火力とともに電力の95%を供給する、パリ協定と整合する持続可能シナリオを提示している。
4 日本がパリ協定を踏まえ世界とアジアの気候変動対策に貢献するのであれば、石炭火力輸出政策を中止し、各国の自然エネルギー拡大の支援に集中すべき。
5 残存する東南アジア各国の石炭火力プロジェクトも見直し・中止が加速していく。 「落穂ひろい」ビジネスではなく、未来につながるエネルギービジネスへの転換が必要。
<関連リンク>
環境省 「石炭火力発電輸出への公的支援に関する有識者ファクト検討会」の開催について
自然エネルギー財団 インフォパック:日本の石炭火力輸出政策5つの誤謬(2020年2月)
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