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ロシアのエネルギー供給が欧州と日本の電気料金に与える影響

トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長 / ロマン・ジスラー 自然エネルギー財団 上級研究員

2022年3月23日

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ロシア政府が出資する天然ガス供給会社のガスプロムは、寒さが厳しく風の弱かった昨年の冬が終わると、各社との契約を履行しただけで、欧州のガス貯蔵設備を満タンにすることはしなかった。ウクライナに攻撃する準備でもあったのだろう。貯蔵量が少なくなり、欧州のガスの価格は戦争が始まるかなり前から上昇した。

化石燃料のガスは需給調整のための電力供給に使われることが多く、価格の高騰に伴って電力の価格も上昇した。特にフランスでは影響が大きかった。国内の原子炉が信頼性の問題を頻繁に引き起こしたことによる。最近の数カ月間に原子力発電の設備容量の4分の1が運転できなくなる状況が頻発した結果、フランスは2022年の1月と2月に、たった1日を除く毎日、ドイツから電力を輸入しなければならなかった。

ロシアがウクライナに侵攻して以降、エネルギーの供給状況はさらに不安定になった。西側諸国が経済制裁の対象として、ロシアとのエネルギー取引をいっそう制限する可能性がある。ガスの取引が制限されたり、あるいは紛争によってパイプラインが破壊されたりすれば、貯蔵しているガスは極めて貴重なものになる。

ガスの価格高騰が続いているため、発電事業者は石炭火力を増やす対策に乗り出した。需要の増加によって石炭の価格まで上昇した。

日本の電力市場にも、少なくとも2つの点で影響が及ぶ。

第1に、ロシアは世界全体で見ても主要なエネルギー供給者である。石油の約10分の1、ガスの5分の1近くをロシアで採掘している。さらにロシア、カザフスタン、ウズベキスタンの3カ国を合わせると、石炭の約20分の1、ウランの採掘量の2分の1以上を占める。ロシア国営の原子力事業者であるロスアトムは、全世界の濃縮ウランの約35%を供給している。

ロシアが輸出を削減したり停止したりすれば、世界のエネルギー供給が減少して燃料の価格は上昇する。

第2に、日本は輸入するガスを液化して船舶で輸送している。供給量の大半は長期契約によるもので、その輸入価格は若干の遅れを伴って石油価格に連動することが多い。このため欧州のガス価格の高騰が日本のガス価格に直接影響を与えるわけではない。

しかし欧州の企業が価格の高いロシアのガスの購入を避けて、日本の企業から相対的に安い液化天然ガスを購入しようと考えるかもしれない。その購入価格が日本の市場価格よりもかなり高いとしたら、これまでのように日本へガスを運ぶ理由はあるのだろうか。

このような市場原理が働くと、日本でもガスの価格が上昇して、電気料金の上昇をもたらすことになる。

ロシアがウクライナに攻撃したことによって、化石燃料による電力は高くなっている。

しかし太陽光や風力による電力は違う!

太陽光や風力の発電設備を補助金なしで建設できれば、化石燃料の価格が高い時に、発電設備の所有者は大きな利益を得ることができる。

固定価格買取制度(FIT)やフィードインプレミアム(FIP)で運転する発電設備であれば、化石燃料の価格高騰による利益は電力の利用者が共有することになる。実際に欧州の多くの国では、現在の電気料金が数年前の買取価格よりも高くなって、その差額を電力の利用者が享受している。

自然エネルギーの発電量を増やしてきたドイツでは、エネルギー危機のあいだ近隣の国よりも安価に電力を利用できて、さらに電力を輸出している状況だ。日本では信じられていないようだが、ドイツは2022年1月から3月中旬まで、わずか1日を除いて毎日フランスに電力を輸出している。

ドイツ政府は今回のエネルギー危機の対策として、自然エネルギー100%の目標を2050年から2035年までに前倒しする。その目標を達成するために、自然エネルギーの開発を加速して、年間の導入量を従来の2~3倍に増やす。ドイツでは2010年以降、化石燃料のガスの消費量はわずかしか減っていない。その間に原子力と石炭が大幅に減少した。今後はガスの削減を加速させることになるだろう。

北欧においては、スウェーデンとノルウェーの北部で、風力発電が増加して安価な電力価格が続く一方、欧州各国と接続する送電線がフル稼働している。特に風が強い冬のあいだは、この状態が続いていて、風力が最大の電力供給源になっている時間帯が多い。

ロシアのウクライナ侵攻によって、太陽光と風力の利点をよりいっそう全世界に知らしめることになった。太陽光と風力はコストがかからないエネルギー源であり、しかも国内に存在する。発電設備に投資さえすれば、電力の供給コストは安く済み、地球の反対側で起こった戦争の影響を受けることもない。

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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