ご登録ください
シンポジウム、セミナーなどのご案内や、報告書・提言、コラム記事、統計データなどのウェブ更新情報を「自然エネルギー財団 お知らせメール」でお受け取りいただけます。各種イベントの登録案内などをいち早くお届けします。

お知らせメール

閉じる
  • 連載コラム
  • 自然エネルギー活用レポート
  • 自然エネルギー

バイオマス発電に間伐材とリンゴの剪定枝
青森県・平川市で80人以上の雇用を生み出す

2018年8月7日

石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 青森県の津軽地方は農林業が盛んで、特にリンゴの産地として有名だ。リンゴの生育には春から秋にかけて枝を間引く必要があり、剪定(せんてい)した枝が毎年大量に発生する。同様に山林には間伐した木や枝のうち製材に利用できないものが数多く残り、従来は製紙用のパルプとして安く売り払うしか処分方法がなかった。

 こうした用途のない木材を燃料に活用して、「津軽バイオマスエナジー平川発電所」が2015年12月に運転を開始した(写真1)。地元で雇用したスタッフが燃料のチップ製造と発電所の運転管理にあたる。さらに木材の需要が拡大したことで伐採・運搬・植樹の仕事が増加した。発電所に隣接するビニールハウスではミニトマトの生産も始まった。バイオマス発電を中核に80人以上の雇用を生み出している。

写真1 「津軽バイオマスエナジー平川発電所」の全景。右側の建屋に蒸気タービン発電機があり、左奥に見えるバイオマスボイラーから蒸気を供給

津軽地方で発生する間伐材の約半分を燃料に活用

 バイオマス発電所にはチップ製造工場が併設されていて、周囲には大量の木材を積み上げた貯木場がある(写真2)。発電に利用する木材は間伐材が年間に5万9000トン、リンゴの剪定枝が1万トン、地元の製材所から出る端材が3000トンで、合計7万2000トンにのぼる。

写真2 バイオマス発電所に隣接する貯木場に積み上げられた間伐材。左奥に見える色の違う木材がリンゴの剪定枝

 間伐材の使用量は津軽地方で発生する約半分、リンゴの剪定枝は10分の1程度のため、供給量に不安はない。地域の林業事業者や森林組合と供給契約を結び、木材を長期に確保できる体制を作り上げた。ただし貯木場で乾燥させる木材が冬期に凍結してしまう問題が発生したため、補助燃料として東南アジアから輸入したPKS(パームヤシ殻)を併用している。

 年間を通じて調達できる木材の量をもとに、バイオマス発電所は出力6250キロワットで建設した。運転開始から2年以上を経過したが、大きなトラブルはなく、1年間に335日の稼働を続けている。2017年度の発電量は5120万kWh(キロワット時)に達した。設備利用率は94%と高い。発電した電力は固定価格買取制度で売電する。建設にかかった事業費の約27億円は15年で回収できる見込みだ。

 新たな試みとして、発電所に隣接する農地に2棟のビニールハウスを建てて、ミニトマトの生産を2017年の夏から開始した。バイオマス発電に利用した蒸気を温水に戻すために冷却水が必要になる。その過程で冷却水は蒸気の熱によって39℃になるが、発電所から配管を敷設してビニールハウスを経由するルートに変更した。ビニールハウスでは温水を使って15℃の温風を供給できる(写真3)。

写真3 発電後の温水を利用してビニールハウスでミニトマトを栽培。緑色の円筒形の装置が温風機

 秋から春まで津軽地方の気温が低下する7カ月間にわたってバイオマス発電の温水を利用することにより、重油に換算して年間に200万円以上の光熱費を節約できる。生産した高糖度のミニトマトは青森県内の生協の店舗や首都圏のデパートで販売している。今後さらに発電所の周辺にビニールハウスを増設して、ミニトマトのほかに花の生産に乗り出すことを検討中だ。

 地域に新たな雇用を生み出したバイオマス発電プロジェクトの開発経緯から設備の詳細、燃料になるチップの製造工程や今後の事業拡大計画までをレポートにまとめた。

自然エネルギー活用レポート No.17
バイオマス発電に間伐材とリンゴの剪定枝
青森県・平川市で80人以上の雇用を生み出す

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギーで豊かな日本を創ろう!アクション
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织