「長期エネルギー需給見通し(案)」についての意見 2015年6月12日
自然エネルギー財団は、2030年の「エネルギーミックス」(電源構成)について、本年2月18日に「日本のエネルギー転換戦略の提案」を公表し、4月28日には経済産業省案に対するコメントを公表している。「長期エネルギー需給見通し(案)」のパブリックコメントに際し、改めて以下の意見を表明する。
1 G7がめざす「経済の脱炭素化」にかなう自然エネルギーの高い導入目標を
ドイツで開催されたG7サミットの宣言は、世界の温室効果ガス排出削減目標について、IPCCが示した「2010年比で2050年までに40~70%削減」の上端を目指すことを提唱するとともに、今世紀中における「経済の脱炭素化」をめざすことを掲げた。以前から指摘しているように、欧米の先進諸国や地域では、原子力政策の如何にかかわらず、2030年には自然エネルギーによって40%以上の電力を供給する目標を掲げている。これらの国や地域がこうした積極的な目標を提起していたのは、G7宣言にある「経済の脱炭素化」という中長期的な戦略をあらかじめ前提にしていたからに他ならない。
これに対し、今回の政府案の「2030年に22~24%」という消極的な自然エネルギー目標は、G7宣言と整合しないものであり、「経済の脱炭素化」、自然エネルギーが主役となる時代への展望を全く欠いたものと言わざるを得ない。
財団の「エネルギー転換戦略の提案」が示したように、省エネルギーの徹底とあわせれば、2030年に自然エネルギーで電力需要の45%程度をカバーすることが可能である。日本においても、少なくとも30%以上の導入を目標として設定すべきである。
2 気候変動対策に逆行する石炭火力発電依存からの脱却を
今回の政府案は、火力発電の中でも二酸化炭素排出量が飛びぬけて多い石炭火力で、電力の26%を供給するとしている。米国やイギリスなどの先進各国では、石炭火力の新設を事実上不可能にする規制を導入するだけでなく、既存の石炭火力も削減する政策を強力に進めている。
「高効率石炭火力なら環境にいい」などという日本の主張は、国際的には全く通用しないものであり、気候変動の危機回避をめざす世界の努力に逆行するものである。
石炭や石油への依存を大幅に減らし、「経済の脱炭素化」へのプロセスとして、化石燃料のなかでは、最も二酸化炭素排出の少ない高効率の天然ガス発電とコージェネレーションを中心とするべきである。
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