全国各地の先進事例を紹介する「ソーラーシェアリング最前線」の第4回目は、栃木県の芳賀郡で有機農業を営んできた阿久津昌弘氏が手がける大豆や米のソーラーシェアリングです。阿久津氏は2020年に自身が生まれ育った芳賀郡芳賀町でソーラーシェアリングを開始しました。それから6年間で関東地方や東北地方を中心に、160カ所にソーラーシェアリングを広げてきました。太陽光パネルの下で大豆や米、麦など様々な作物を栽培しており、その多くが地域の平均的な収穫量を超えています。
特に成果が大きいのは大豆です。2025年に芳賀町で始めた新プロジェクトでは、1反(約0.1ヘクタール)あたり約200kgを収穫し、農薬を使用する通常の栽培の地域平均(168kg)を約20%上回りました。ソーラーシェアリングでは、太陽光パネルによる遮光によって作物の光合成を制限し、生育を低下させる恐れがあります。阿久津氏は、土壌を徹底的に分析・管理し、根の養分吸収を高めることで、この課題を克服しています。太陽光パネルの間隔を広くとって、大豆の生育に必要な日照を確保しつつ、真夏の強い日差しによる葉焼けや乾燥を防いでいます。有機栽培は通常の栽培と比べて土壌の管理や病害虫・雑草の防除に費用がかかりますが、売電収益によってコストの問題も解消しました。さらに、農地の周囲にビオトープ(生物が生息する湿地や池などの空間)を設け、生物多様性の保全に取り組んでいます。
シリーズ:ソーラーシェアリング最前線
(1)「さがみこファーム」 ブルーベリーを栽培、観光農園で地域交流 (神奈川県相模原市)2025年4月23日
(2)「吉田酒造店」 酒米を栽培、雪国で垂直型の太陽光パネル (石川県白山市)2025年7月3日
(3) 「みつばち発電所」可動式の太陽光パネルで1等米を収穫(山形県米沢市)2025年9月24日





