
日本においても太陽光発電が遠からず最も安価な電源になることが明らかになる中で、脱炭素社会の実現に向けた自然エネルギーへの期待が高まっています。一方で、太陽光発電や風力発電といった変動型電源が増えると電力供給の安定性が損なわれ、安定性確保のためのコストが激増する、という主張も行われています。
一方、自然エネルギー導入で先行する欧州などでは、大量の変動型電源を安定的に電力系統に統合することが可能になっています。今回のウエビナーでは、自然エネルギー財団のトーマス・コーベリエル理事長、また長らくABB社において送電ビジネスの第一線で活躍し、現在では蓄電池、グリーン水素などで欧州の脱炭素ビジネスを牽引するInnoEnergy社の産業戦略エグゼクティブとして活躍するボー・ノーマーク氏を講師に招き、欧州の経験をお話いただきました。
プログラム
開会挨拶 |
イベント詳細
日時 | 2021年7月30日(金)15:30 - 17:00 |
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開催形式 | ウェビナー(Zoom) |
主催 | 公益財団法人 自然エネルギー財団 |
参加登録・参加費 | 無料 |
登壇者紹介
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- トーマス・コーベリエル
自然エネルギー財団 理事長 - スウェーデン・チャルマース工科大学教授。工学物理の理学修士号、物理資源理論の博士号を取得し、チャルマース工科大学で環境科学の講師、その後ルンド大学の産業環境経済国際研究所の教授(専門は国際的に持続可能なエネルギーシステム)を歴任。現在はチャルマース工科大学で産業エネルギー政策の教授。産業界の経験もあり、バイオマス・エネルギーで燃料や技術を提供する企業や、自動車業界向け持続可能なエネルギーソリューション開発会社、風力発電所運営会社などの企業で、主導的な役割を果たしてきた。現在、ヴァッテンフォール社外取締役、欧州企業InnEnergyの産業育成エグセクティブを務める。政治面では、スウェーデンおよび欧州の環境市民組織やエネルギー・環境関連法案を策定するスウェーデン政府委員会のメンバーとして活動する傍ら、中国の環境と開発に関する国際協力委員会(China Council for International Cooperation on Environment and Development)では低炭素産業化戦略対策委員会委員を兼任。また、2008年から2011年までスウェーデンエネルギー庁長官を務めた。任期半ばで、自然エネルギー財団理事長就任のため退職。2018年から2021年6月までスウェーデン政府が設立した「気候変動委員会」の委員。
- トーマス・コーベリエル
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- ボー・ノーマーク
イノエナジー社 産業戦略エグゼクティブ - 欧州委員会によって設立された欧州官民企業であり、ヨーロッパ全域において自然エネルギー分野における新たな産業活動創出や起業家育成、380社以上のスタートアップ企業やベンチャー企業の立ち上げに携わる企業であるイノエナジー社を中心に約10年に渡り活動。
スウェーデン王立工学アカデミーにてスウェーデン政府を代表し、自国の将来の電力システム研究に携わり、同政府が設立した初期段階のベンチャーキャピタルファンドである Swedish TSO Svenska Kraftnat and Industrifonden理事も務める。
以前はABB社において35年の電力ビジネスに携わり、様々な国際的なプロジェクトのリーダーとして活躍。主に、高電圧直流給電(HVDC)、フレキシブル交流送電システム(FACTS)、高電圧ケーブルなど先進的な送電網技術を含む送電設備に関する業務に携わり、その活躍の場はスウェーデン、スイス、米国など世界各地に及んでいる。
- ボー・ノーマーク
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