
出典:京セラTCLソーラー
太陽光パネルをフロートに搭載、約500本のアンカーで支える
水上メガソーラーを建設した山倉ダムは、東京湾岸の工業地帯に水を供給するために1963年(昭和38年)に造られた。水面の面積は約60ヘクタール(0.6平方キロメートル)あり、そのうちの30%を太陽光発電に利用している。水面に浮かべる太陽光パネルは軽量のフロートの上に搭載する。さらにフロートを前後左右に連結して、5万枚の太陽光パネルを組み合わせる(写真2)。

出典(右下の図):シエル・テール・ジャパン
しかし、これだけでは水面に浮かぶフロートが風や波で流されてしまう。フロートの周囲からワイヤーが水中に延びていて、先端部分はアンカーが湖底に打ち込まれている。「マンタレイ・アースアンカー」と呼ぶ五角形の構造物である(図1)。5万枚の太陽光パネルを搭載したフロートを固定するために、約500本のアンカーを打ち込んだ。


出典(上の図):京セラTCLソーラー(設置イメージの画像はMacLean Civil Products)
アンカーの設置はダイバーが潜水して作業する。太陽光パネルとフロートは陸上で組み上げてから台船で運ぶ。アンカーの設置に3カ月、その後に太陽光パネルとフロートの設置に9カ月かかった。その代わりに陸上と違って土地を平らに造成する必要がなく、建設費は陸上のメガソーラーと同程度で済む。
最も難航したのは、送電線の接続工事である。約1キロメートル先の送電線まで電力を送るには、新たに鉄塔を建設する工事が必要になった。電力会社から求められた工事費は想定をはるかに上回るものだった。追加で発生する多額の費用をカバーするために、さまざまなコストを削減して、着工から2年後に運転開始にこぎつけた。
日本最大の水上メガソーラーが完成するまでの過程を振り返りながら、水上に建設した太陽光発電設備の構造、安全性や環境対策を含めてレポートにまとめた。