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先進企業の自然エネルギー利用計画(第3回)
大和ハウス、2040年までに売電から自家消費へ切り替え
国内最大の太陽光発電設備をグループで保有

2018年8月21日

石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 大和ハウス工業はグループ会社を含めて国内と海外に展開する4000カ所以上の拠点で使用する電力を2040年までに自然エネルギー100%に移行する計画だ。年間に約5億kWh(キロワット時)にのぼる大量の電力を自然エネルギーで供給する。その実現方法は具体的に決まっている。全国各地に太陽光発電設備を拡大中で、現在は固定価格買取制度(FIT)で売電しているが、買取期間の20年間を終了した設備から自家消費へ切り替えていく。と同時に自社ビルをZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)で建設するなど省エネを推進して、事業規模を拡大しながら電力使用量の増加を抑える。

2030年に400MW超の自然エネルギー発電設備を運転

 大和ハウスグループが2017年度末の時点で運転している自然エネルギーの発電設備は235MW(メガワット=1000キロワット)に達した。そのうち225MWが太陽光で、国内の太陽光発電事業者としては最大である。風力や水力を加えた年間の発電量は、グループ全体の電力使用量に対して63%まで上昇している(図1)。この比率を2020年に80%、2030年に100%まで高める。2030年には自然エネルギーの発電設備の規模が400MWを超える見込みだ。大半は太陽光発電を想定していて、ため池を利用した水上メガソーラーや、農地を活用したソーラーシェアリング(営農型の太陽光発電)にも取り組んでいく。

図1.自然エネルギー(再エネ)の導入実績・目標。出典:大和ハウス工業

 2032年になると、FITの買取期間を終了する発電設備が出てくる。その後に発電した電力は大和ハウスグループが買い取って自家消費する。2040年までにはグループの電力使用量の100%近くを自家発電で供給できるようにして、不足分が生じた場合には小売電気事業者からの電力購入や証書の購入で補う方針だ。大和ハウスグループは太陽光発電設備を搭載した住宅も数多く販売している。同様にFITを終了した住宅から太陽光発電の電力を買い取ることも検討する。

 大和ハウス工業は自然エネルギー100%を推進する国際イニシアチブの「RE100」に2018年3月に加盟したが、同時にエネルギー効率を2倍に高める「EP100」にも加盟した。グループ全体のエネルギー消費量に対する売上高の比率を2040年までに2倍(2015年比)に高めることが目標だ(図2)。エネルギー効率を改善していけば、事業の規模が拡大してもエネルギー消費量を抑制できる。

図2.エネルギー効率の改善目標。出典:大和ハウス工業

 RE100とEP100を目標に脱炭素を推進することで、主力の建設・不動産開発事業に相乗効果を期待できる。太陽光発電と蓄電池を組み合わせたエネルギー自給住宅をはじめ、商業建築ではZEBの提案、都市開発の分野ではスマートシティの受注につながる。自然エネルギーと省エネを組み合わせた脱炭素による事業の拡大を通じて、創業100周年の2055年にはグループの売上高10兆円を目指す。

先進企業の自然エネルギー利用計画 (第3回)
大和ハウス、2040年までに売電から自家消費へ切り替え
国内最大の太陽光発電設備をグループで保有

外部リンク

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