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先進企業の自然エネルギー利用計画 (第1回)
アスクル、2030年にグループ全体で100%達成へ
全国9カ所の物流センターから導入開始

2018年6月25日

先進企業の自然エネルギー利用計画 (第1回)
アスクル、2030年にグループ全体で100%達成へ
全国9カ所の物流センターから導入開始

石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 通信販売事業で成長を続けるアスクルは、自然エネルギーの利用率100%を推進する国際イニシアチブ「RE100」に日本企業で3番目に加盟した。グループ会社を含めて消費する電力をすべて2030年までに自然エネルギーに切り替える計画だ。今後10年余りで目標を達成するために、2018年5月から物流センターで自然エネルギーの電力を利用開始した。それに加えて配送用の車両に電気自動車(EV)を100%利用してCO2排出量ゼロを目指す。

「グリーン電力証書」を組み合わせたCO2ゼロの電力を購入

 アスクルは全国9カ所に物流センターを展開して、膨大な種類の商品を企業や家庭に宅配方式で販売している。東京の本社や営業拠点を含めると、2017年5月の時点で年間の電力使用量は3000万kWh(キロワット時)に達した。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して8300世帯分を上回る規模である。

 従来から環境先進企業を目指して事業を運営することを重視してきた。新たに気候変動対策として、2030年までにCO2排出量をゼロに削減する。そのために全国各地の物流センターや事業所で利用する電力を自然エネルギーに切り替えていく。本社と物流センターを2025年までに、さらにグループ会社を加えて2030年までに、自然エネルギーの電力を100%導入する(図1)。現時点でRE100に加盟した日本企業の中では最も早く目標を達成することになる。

図1.RE100に向けた中間目標と最終目標。出典:アスクル

 当面は小売電気事業者が販売する自然エネルギー100%の電力を採用する方針だ。大阪市にある物流センターで2018年5月1日から、ネクストエナジー・アンド・リソースの「GREENa RE100プラン」を導入した。このプランは自然エネルギーで発電した電力の環境価値を証書にした「グリーン電力証書」を組み合わせたもので、CO2排出量がゼロの電力として利用できる。

 アスクルは2018年5月から7月にかけて、合計4カ所の物流センターで使用する電力を同じプランに切り替える。そのほかの物流センターでは2019年以降に自然エネルギーの電力を導入する。小売電気事業者から自然エネルギー100%の電力を購入する方法のほかに、太陽光発電などの開発プロジェクトを支援して電力を調達することも検討していく。

 アスクルの売上高は年率10%の勢いで成長を続けていて、商品の取扱量が拡大している。物流センターではロボットの導入などによって消費する電力量が増加中だ。商品を企業や家庭まで配送する小型トラックの台数も多い。電力と燃料の消費に伴うCO2排出量は2015年度に約2万4000トンに達した(図2)。

図2.事業活動に伴うCO2排出量(2015年度)。出典:アスクル

 目標に設定した2030年に向けて、電力を自然エネルギー100%に切り替え、配送用の小型トラックにEVを利用することで、今後も事業を拡大しながらCO2排出量をゼロに低減させる。気候変動に取り組むことの重要性を強く感じた社長みずからが決断した実行計画の全体像と具体策をケーススタディとしてまとめた。

先進企業の自然エネルギー利用計画 (第1回)
アスクル、2030年にグループ全体で100%達成へ
全国9カ所の物流センターから導入開始

外部リンク

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  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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