「調達価格等算定委員会」での議論再開にさいして
昨年7月に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(固定価格制度、あるいはFIT制度)が施行された。2012年4月から11月末時点で運転を開始した自然エネルギー発電設備は144.3万kW、また、設備認定を受けた設備は364.8万kWに上る(2012年12月14日、資源エネルギー庁発表)。このうちの多くがFIT施行後の7月以降に設置・認定されたものであり、太陽光発電をはじめとした自然エネルギーの導入が着実に進んでいる。この状況は、明らかに、事業者を優遇することを目的に設定された調達価格の効果である。
しかし、一方で、制度の持つ課題も見えてきた。自然エネルギー発電事業者が系統への連系を希望した際に、電力事業者から否定的な返答をされるケースが目立つようになっている。これらの事例は、実質的な事業を開始する前に当事者間の交渉の中で起こるため、社会的に表面化しない。
今回、調達価格等算定委員会が再開されるにあたって、自然エネルギー財団は、以下のとおり、現行制度の課題点を整理し、課題解決に向けた提案を行うものである。
1.導入目標設定の必要性
- 調達価格は、本来、目標とする自然エネルギーの将来導入量があってはじめて、その達成に必要な価格の設定や調整を行うことができる。一刻も早く、自然エネルギーの導入目標を定めるべきである。
2.調達価格のきめ細やかな設定の必要性
- 自然エネルギーの導入には、その場所の自然条件に応じたきめ細やかな導入施策が必要とされる。現在の一律的な調達価格区分では、それぞれの自然エネルギー設備の実態を反映することができない。
- 太陽光は10kW未満とそれ以上の2区分のみが設定されている。しかし、10-50kW程度の設備と1000kW以上のメガソーラ―ではコストに大きな違いが生じる。また、設置場所(屋根か陸上か、造成地か非造成地かなど)によってもコストが異なるため、実績データに基づき、よりきめ細かい価格設定を行うべきである。
- 風力発電についても、20kW未満とそれ以上の2区分のみの設定となっているが、むしろ、設置場所の風況に応じた価格設定とするなど、風力ポテンシャルを最大化させるための制度設計が望まれる。同時に、現行制度では、陸上風力発電のみが想定されているが、洋上設置を拡大していくために、別途、洋上風力発電への価格を設定すべきである。
3.調達価格の将来見通しの提示の必要性
- 次年度の調達価格が開始直前まで明らかにされない現行のルールでは、事業者は当該年度に間に合うように駆け込みで手続きを行うか、あるいは、間に合わない可能性がある場合には、事業計画をストップせざるをえない状況にある。このような駆け込みの発生や、年間を通じての事業開発が見込めない状況は、結果的には賦課金の上昇につながる。
- 将来の自然エネルギーの導入目標値を基に、毎年の導入量の目安を定め、実績に応じて価格を調整する仕組みを採用するなど、中長期的な見通しの提示が不可欠である。
4.接続拒否・制限事例の収集と接続義務の実質的な確保、
および判断基準の明確化・透明化の必要性
- 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」では、第5条の下で電気事業者に対して、自然エネルギー発電設備の接続が義務付けられている。しかし、現状では、自然エネルギーの導入において最も重要なルールである優先接続が実態的に担保されていない。
- これには、第5条1の2で、「電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」は接続を拒んでも良いとされているところに大きな問題がある。経済産業省令第四十六号の施行規則においても、接続の請求を拒むことができる正当な理由として、「送電することができる電気の容量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれること」として、現在では支配的な系統運用者である電気事業に対して接続拒否を認めている。拒否事由は限定され、拒否する場合には説明責任が課せられているが、実質的には、第三者が電気事業者の判断の妥当性を検証する仕組みは存在しない。系統容量などの基礎的情報についても、電気事業者が独占的に所有しており、公開されていない。
- 自然エネルギー財団が実施している、自然エネルギー事業者等に対するヒアリングによれば、系統許容量における制約を理由として事業計画を断念するケースも発生している。
- 同時に、事業実施において最も時間を要する作業が系統接続手続きであり、接続有無の見通しが立たないことが最大の事業リスクとなっていることが明らかとなっている。
- 系統接続手続きの効率化・短縮化に向けて、政府が、まず現状の実態把握を行うべきである。さらに、現状の自主ルール である3ヵ月の回答期間の妥当性も含め、不適切な対応がなされている場合には指導を行うなど、電力事業者との系統連系協議が、自然エネルギー事業者の事業計画に及ぼす影響を最小化する規則を定めるべきである。
- また、系統接続における電気事業者の恣意的な判断を完全に排除するために、基準の明確化・透明化が不可欠であり、系統に関する許容量等の情報の公表や電気事業者による接続可否判断に係る情報の徹底的な開示を行い、政府は実態的に平等な系統アクセスが担保されるよう監視すべきである。
- 自然エネルギーの導入には、その場所の自然条件に応じたきめ細やかな導入施策が必要とされる。現在の一律的な調達価格区分では、それぞれの自然エネルギー設備の実態を反映することができない。
- 太陽光は10kW未満とそれ以上の2区分のみが設定されている。しかし、10-50kW程度の設備と1000kW以上のメガソーラ―ではコストに大きな違いが生じる。また、設置場所(屋根か陸上か、造成地か非造成地かなど)によってもコストが異なるため、実績データに基づき、よりきめ細かい価格設定を行うべきである。
- 風力発電についても、20kW未満とそれ以上の2区分のみの設定となっているが、むしろ、設置場所の風況に応じた価格設定とするなど、風力ポテンシャルを最大化させるための制度設計が望まれる。同時に、現行制度では、陸上風力発電のみが想定されているが、洋上設置を拡大していくために、別途、洋上風力発電への価格を設定すべきである。
3.調達価格の将来見通しの提示の必要性
- 次年度の調達価格が開始直前まで明らかにされない現行のルールでは、事業者は当該年度に間に合うように駆け込みで手続きを行うか、あるいは、間に合わない可能性がある場合には、事業計画をストップせざるをえない状況にある。このような駆け込みの発生や、年間を通じての事業開発が見込めない状況は、結果的には賦課金の上昇につながる。
- 将来の自然エネルギーの導入目標値を基に、毎年の導入量の目安を定め、実績に応じて価格を調整する仕組みを採用するなど、中長期的な見通しの提示が不可欠である。
4.接続拒否・制限事例の収集と接続義務の実質的な確保、
および判断基準の明確化・透明化の必要性
- 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」では、第5条の下で電気事業者に対して、自然エネルギー発電設備の接続が義務付けられている。しかし、現状では、自然エネルギーの導入において最も重要なルールである優先接続が実態的に担保されていない。
- これには、第5条1の2で、「電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」は接続を拒んでも良いとされているところに大きな問題がある。経済産業省令第四十六号の施行規則においても、接続の請求を拒むことができる正当な理由として、「送電することができる電気の容量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれること」として、現在では支配的な系統運用者である電気事業に対して接続拒否を認めている。拒否事由は限定され、拒否する場合には説明責任が課せられているが、実質的には、第三者が電気事業者の判断の妥当性を検証する仕組みは存在しない。系統容量などの基礎的情報についても、電気事業者が独占的に所有しており、公開されていない。
- 自然エネルギー財団が実施している、自然エネルギー事業者等に対するヒアリングによれば、系統許容量における制約を理由として事業計画を断念するケースも発生している。
- 同時に、事業実施において最も時間を要する作業が系統接続手続きであり、接続有無の見通しが立たないことが最大の事業リスクとなっていることが明らかとなっている。
- 系統接続手続きの効率化・短縮化に向けて、政府が、まず現状の実態把握を行うべきである。さらに、現状の自主ルール である3ヵ月の回答期間の妥当性も含め、不適切な対応がなされている場合には指導を行うなど、電力事業者との系統連系協議が、自然エネルギー事業者の事業計画に及ぼす影響を最小化する規則を定めるべきである。
- また、系統接続における電気事業者の恣意的な判断を完全に排除するために、基準の明確化・透明化が不可欠であり、系統に関する許容量等の情報の公表や電気事業者による接続可否判断に係る情報の徹底的な開示を行い、政府は実態的に平等な系統アクセスが担保されるよう監視すべきである。
および判断基準の明確化・透明化の必要性
- 「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」では、第5条の下で電気事業者に対して、自然エネルギー発電設備の接続が義務付けられている。しかし、現状では、自然エネルギーの導入において最も重要なルールである優先接続が実態的に担保されていない。
- これには、第5条1の2で、「電気事業者による電気の円滑な供給の確保に支障が生ずるおそれがあるとき」は接続を拒んでも良いとされているところに大きな問題がある。経済産業省令第四十六号の施行規則においても、接続の請求を拒むことができる正当な理由として、「送電することができる電気の容量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれること」として、現在では支配的な系統運用者である電気事業に対して接続拒否を認めている。拒否事由は限定され、拒否する場合には説明責任が課せられているが、実質的には、第三者が電気事業者の判断の妥当性を検証する仕組みは存在しない。系統容量などの基礎的情報についても、電気事業者が独占的に所有しており、公開されていない。
- 自然エネルギー財団が実施している、自然エネルギー事業者等に対するヒアリングによれば、系統許容量における制約を理由として事業計画を断念するケースも発生している。
- 同時に、事業実施において最も時間を要する作業が系統接続手続きであり、接続有無の見通しが立たないことが最大の事業リスクとなっていることが明らかとなっている。
- 系統接続手続きの効率化・短縮化に向けて、政府が、まず現状の実態把握を行うべきである。さらに、現状の自主ルール である3ヵ月の回答期間の妥当性も含め、不適切な対応がなされている場合には指導を行うなど、電力事業者との系統連系協議が、自然エネルギー事業者の事業計画に及ぼす影響を最小化する規則を定めるべきである。
- また、系統接続における電気事業者の恣意的な判断を完全に排除するために、基準の明確化・透明化が不可欠であり、系統に関する許容量等の情報の公表や電気事業者による接続可否判断に係る情報の徹底的な開示を行い、政府は実態的に平等な系統アクセスが担保されるよう監視すべきである。
i 接続の請求に対する電気事業者の回答期限は、一般社団法人電力系統利用協議会(ESCJ)が作成している電力系統利用協議会ルールに基づき、原則3ヵ月とされている。
お問い合わせ
公益財団法人 自然エネルギー財団 大林、真野
TEL:03-6895-1020 / FAX: 03-6895-1021
E-mail: info@renewable-ei.org ※@を半角にして送信下さい