公益財団法人 自然エネルギー財団は本日、「CCS火力発電政策の隘路とリスク」を公表しました。
脱炭素社会の実現に向け、国際的には電力の90%程度を自然エネルギー電力で供給することが目指されていますが、日本政府は「ゼロエミッション火力」の開発に力点を置き、2050年まで化石燃料発電を使い続けようとしています。その中心がCCS火力発電です。
本報告書では、不完全なCO2回収、コスト高、CO2貯留に適さない地理的条件などCCS火力発電の5つの隘路を指摘し、あわせて4月に公表されたIPCCの最新レポートも含め、世界の脱炭素戦略におけるCCSと自然エネルギーの位置づけを紹介しています。
政府が2030年までの実現を急ぎ、今国会ではCCS火力発電の開発を促進する法案を提出する中で、本報告書が日本の電力供給の脱炭素化に向けた建設的な議論に資することを期待しています。
概要
第1章:CCSに過剰に依存する日本のエネルギー戦略
第2章:CCS火力発電政策の5つの隘路
第1の隘路 導入が停滞するCCS火力
第2の隘路 不完全なCO2回収
第3の隘路 日本にはCCS利用に適した地理的な条件がない
第4の隘路 CCS火力は高コスト化
第5の隘路 CO2海外輸出のもたらすリスク
第3章:世界におけるCCSと自然エネルギーの動向
終章:日本の脱炭素戦略はどうあるべきか