本報告書はCO2排出量で世界第4位のロシア連邦における温室効果ガス排出量の推移、セクター別、地域別のデータを整理し、排出量削減余地の特に大きい分野や障壁となる問題を明らかにしています。そのうえで、現在ロシアが準備を進める「排出量規制」法案や低炭素経済発展戦略が効果的に機能するための重点課題を指摘しています。
担当研究員: 尾松 亮 自然エネルギー財団 上級研究員
<目次>
はじめに:ロシア政府のパリ協定批准と気候変動に関する問題意識
1. ロシアの経済構造と温室効果ガス排出量の推移
1) ロシア経済の資源依存構造
2) 近年の経済低迷と進まない排出量削減
2. 産業部門別・地域別排出量削減の課題
1) エネルギー産業・発電部門の排出量削減の課題
2) 運輸部門における排出量削減の課題
3) 工業部門における排出余量削減の課題
4) 化石燃料依存度・電力消費の大きい重点対策地域(シベリア・ウラル)
3. 長期気候変動対策に向けた重点政策の在り方
1) 長期気候変動対策にむけた新政策をめぐる議論
2) 重点対策地域における自然エネルギーによる化石燃料代替の可能性
まとめ:脱炭素化がロシアの経済競争力を高める