提言
脱炭素社会を実現するエネルギー政策への転換を
「エネルギー基本計画」と「長期低排出発展戦略」の議論を誤らないために
公益財団法人 自然エネルギー財団はこの度、提言「脱炭素社会を実現するエネルギー政策への転換を:『エネルギー基本計画』と『長期低排出発展戦略』の議論を誤らないために」を公表しました。
パリ協定の発効を受け、世界で脱炭素社会への転換が本格化してきました。自然エネルギーの導入の飛躍的な拡大とそのコストの劇的な低下、石炭ビジネスからの撤退、原子力発電のピークアウトなど、世界の経済、社会のあり方を大きく変化させるエネルギー転換が進んでいます。
日本では昨年夏から、「エネルギー基本計画」の見直しに関する議論が開始されており、また「長期低排出発展戦略」策定に向けた議論も政府全体で統一的に進めることが決まるなど、エネルギー政策に関して様々な動きがあります。しかしながらその議論の中には、石炭ビジネスへの支援の継続を唱えるなど、脱炭素化を目指す世界の動きとは大きく異なり、エネルギー転換に逆行するものもあります。
本提言では、世界の脱炭素化の動きを紹介しつつ、日本でも脱炭素社会の実現に向けて、エネルギー政策に転換していくための方向性、考え方を示しています。エネルギーの効率化と自然エネルギー拡大を主軸に進めることは、脱炭素だけでなく、日本の経済、社会にもポジティブな効果を及ぼしていくことができます。自然エネルギー財団では、今回の提言をはじめ、脱炭素社会の実現に向けた建設的な議論が進むよう、様々な提言を行っていく予定です。
<目次>
1.はじめに:自然エネルギ―電力の活用を脱炭素戦略の中心に
2.脱炭素化を達成するために必要な3つの基本政策
2-1. 基本政策1:2050年までに電力を自然エネルギー100%へ
2-2. 基本政策2:石炭火力発電を一刻も早くフェーズアウトさせる
2-3. 基本政策3:エネルギー効率化を第1のエネルギー源に
3.電力の脱炭素化に関するその他の論点:原子力発電とCCSの活用にリアリティがあるか
3-1.既にピークアウトした原子力発電
3-2.原子力発電の新設コストの高騰
3-3.停滞する二酸化炭素回収・貯蔵(CCS)の導入
4.おわりに