IRENAの「行動に向けた連合」が声明を発表COVID-19に対する行動の呼びかけ再生可能エネルギーが重要な解決策に

2020年4月28日

in English


自然エネルギー財団が参加するIRENA Coaltion for Action(行動に向けた連合)が「Call to Action in Response to COVID-19: Renewable Energy is a Key Part of the Solution(COVID-19に対する行動の呼びかけ:再生可能エネルギーが重要な解決策に)」を発表しました。

詳細はこちら(外部サイト、英文):プレスリリース声明全文

<参考和訳・参加メンバー>

COVID-19に対する行動の呼びかけ「再生可能エネルギーが重要な解決策に」 

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の大流行によって引き起こされた健康上および人道的・社会的・経済的な危機は、これまでに前例のないものであり、世界中の社会にさまざまな影響を及ぼしている。各国政府が国民の健康を守り、景気回復の課題に取り組む中、IRENA(国際再生可能エネルギー機関)は「行動に向けた連合(Coalition for Action)」を通じて、すべての政府に対して、再生可能エネルギーがもたらした進歩を活用し、世界全体で気候と持続可能性の目標を達成するために必要な取り組みを見失うことがないよう求める。
 
再生可能エネルギーによる解決策は、医療、水、食糧など生活に欠かすことのできないサービスを維持するために、クリーンで信頼性が高く、稼働しやすくて費用対効果の高いエネルギーを提供できる。こうした特徴を持つ再生可能エネルギーは、COVID-19に迅速に対応するうえで極めて重要である。さらに経済の回復、持続可能性とエネルギー安全保障の確保、雇用の創出、人々の健康と福祉を守るためのレジリエンスを強化するために、再生可能エネルギーは重要な役割を果たす。さまざまな効果を発揮しながら、同時に地球規模で温室効果ガスの排出を削減できる産業は他にない。
 
IRENAの「行動に向けた連合」に参加する団体は、各国政府に対し、COVID-19による緊急事態に即時に対応するための政策立案において、次のことを求める。

早期の納入義務契約を課せられている再生可能エネルギー事業について、期限の見直しを行うこと。再生可能エネルギー産業の労働力と世界的なサプライチェーンに対してパンデミック(感染症の世界的な大流行)が与えている影響を相殺するために、開発の遅れたプロジェクトはパンデミック前と同じ条件と枠組みのもとで再開できるようにすべきである。

再生可能エネルギー産業および関連するインフラストラクチャを、最重要かつ不可欠なセクターとして位置付けること。必要なエネルギーサービスが完全に機能し続けるためには、サプライチェーン全体を含めて産業活動を継続する必要がある。再生可能エネルギー関連機器の多国間貿易は堅持されなくてはならず、この産業に携わる人々は危機の渦中にあって不可欠な労働力として認識されなくてはならない。

再生可能エネルギーによる解決策を集中型と分散型の両面から促進する政策を確認し、拡大すること。現在のような危機的な局面においても、政府は確固たる長期の政策を提示できるように、実施中および計画中の再生可能エネルギー事業に対する支援策を確認することが求められる。さらに市場と政策の枠組みを適切に維持することによって、再生可能エネルギーの大量導入に不可欠な送電網の開発、エネルギーの貯蔵や柔軟性の確保、その他のインフラの促進を支援していく必要がある。再生可能エネルギー事業者が事前に計画を立てて労働力を確保できるよう、事業許可や立地承認は迅速に遂行されなくてはならない。

各国政府による迅速かつ持続的な景気回復のための経済刺激策の検討にあたって、IRENAの「行動に向けた連合」は、以下のことも求める。

あらゆる経済刺激策において再生可能エネルギーを優先し、化石燃料への支援策を段階的に廃止すること。どのような産業部門に対する経済刺激策においても、温室効果ガスの排出量を削減し、クリーンで低炭素な経済への移行を加速することを条件とする。エネルギー部門においては、化石燃料に対する補助金は低炭素なインフラの投資へ振り向けるべきである。特に輸送や冷暖房などの最終需要における再生可能エネルギーのシェアをより高めるための研究とイノベーションに向けられなくてはならない。再生可能エネルギーへの依存がより高まることで、国や地域社会は温室効果ガス排出量の削減や気候目標の達成とともに、エネルギー価格の安定とエネルギー自立の向上という恩恵を受けることができる。

再生可能エネルギー産業を保護し、再生可能エネルギーへの民間投資を促すために、公的な財政支援を用意すること。現在の危機は、再生可能エネルギーの導入拡大に必要な民間からの資金供給に破壊的な影響を及ぼしている。短期的な救済措置が長期的な経済および持続可能性の目標と整合するように、政府は再生可能エネルギーのセクターに対して優先的に金融面のインセンティブを与えるべきである。融資の受手に対して「no-harm」の原則(他に著しい環境被害を及ぼさないという原則)を導入することで、政府と金融機関は主要なエネルギー投資を再生可能エネルギーに誘導することができる。さらに政府は、追加の信用枠や信用保証を提供すること、中小企業など脆弱な事業者のための特別な救済基金を設けることも可能である。

産業政策における再生可能エネルギーの役割を強化すること。政府は自国の産業の能力とサプライチェーンを検証して、クリーンで低炭素な経済へ移行する世界の動きに適合させるうえで、またとない機会を迎えている。再生可能エネルギーそのものに加えて、グリーン水素、エネルギー貯蔵、デジタルソリューションなど、関連する他の産業を支援する役割も果たせる。既存の経済活動と地域の能力を十分に生かして、GDP(国内総生産)の成長、雇用の創出、人々の健康の改善など、再生可能エネルギーがもたらす社会経済的な便益を最大化する必要がある。

労働政策ならびに教育政策を見直して、公正な移行を促進し、労働者が再生可能エネルギーの仕事へ転換できるように支援すること。エネルギーシステムの変革は、地域のバリューチェーンを発展させる大きな機会をもたらす。政府はクリーンで低炭素な経済に必要な知識とスキルを社会に提供するためのプログラムに投資すべきである。再生可能エネルギーのセクターは労働力の訓練と再訓練プログラムを通じて有益な支援を提供できる。

全世界の気候と持続可能性の目標に沿った再生可能エネルギーの展開を加速するために、国際的な協力と行動を強化すること。COVID-19は全世界に影響を及ぼしており、とりわけ開発途上国に対して数か月から数年にわたって著しいリスクを与える恐れがある。適切な資金提供に裏付けられた明確な行動計画のためには、政府間および国際社会全体による協力体制が必要である。長期的な経済刺激策を通じて公的および民間の資金を集約することで、集中型と分散型の再生可能エネルギー事業に対するリスクを回避して、資金調達を確実なものにすることができる。

上記の行動は、持続可能な経済回復を支え、より強靭な社会を作り、「パリ協定」と「持続可能な開発のための2030アジェンダ(the 2030 Agenda for Sustainable Development)」の目標達成を支援するものである。今回の危機の対応にあたって、各国政府は再生可能エネルギーの便益を認識し、脱炭素へ移行するための幅広い公的支援を構築し続け、クリーンで低炭素な経済に向けた道筋を開く立場にある。

※この提言は、公益財団法人自然エネルギー財団が、IRENAからの許諾を得て翻訳を行った、「IRENA Coalition for Action: Call to Action in Response on COVID-19」(2020年5月)の非公式な邦訳版です。英語オリジナル版と日本語版に齟齬がある場合は、英語版の記述が優先されます。
 
IRENA Coalition for Actionとは:
IRENA「行動に向けた連合」は、再生可能エネルギーの取り込みを促進するという共通の目標を持つ、世界中の主要な再生可能エネルギープレーヤーが参加するネットワークです。「行動に向けた連合」は、政府と企業の世界的な対話を促進し、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を増やし、世界のエネルギー転換を加速するための行動を起こします。 IRENAは事務局をつとめています。 https://coalition.irena.org

 

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外部リンク

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