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自然エネルギーの電力は新設か運転開始15年以内にRE100が技術要件を改定

石田 雅也 自然エネルギー財団 シニアマネージャー(ビジネス連携)/ RE100 Technical Advisory Group メンバー

2022年10月26日

in English

 世界各国の主要企業が加盟して自然エネルギーの電力の利用を促進する国際イニシアティブの「RE100」は、加盟企業が調達する自然エネルギーの電力を規定する「技術要件(Technical Criteria)」を10月24日に改定した(当初の予定から5カ月前倒しで公表)。RE100に加盟している企業は2024年1月以降に調達する電力に対して新しい要件を適用することが求められる(ただし2024年1月よりも前に締結した契約は例外扱い)。

 最も重要な改定項目は、自然エネルギーの電力の調達方法を5つの区分に整理したうえで、CO2(二酸化炭素)の排出削減に効果がある調達方法を選択するように求めた点である。コーポレートPPAのように新設の発電設備から調達すること、それがむずかしい場合には運転開始から15年以内の発電設備から電力や証書を購入することを規定した。新設の発電設備を重視する追加性の要件を具体的に示すことで、加盟企業によるCO2排出削減を効果的に促進する狙いだ。加盟企業にとどまらず、多くの電力ユーザーがRE100の要件に合う自然エネルギーの電力を選択すれば、地域全体のCO2排出削減を加速させることができる。

自家発電とコーポレートPPAを最優先に調達

 RE100の新しい技術要件では、世界各国における自然エネルギーの電力の調達方法を5つのタイプに集約した(詳細は表1を参照)。

1.需要家が発電設備を所有する「自家発電」
2.特定の発電設備と契約する「直接調達」(コーポレートPPA)
3.小売事業者から購入する「電力供給契約」
4.自然エネルギーの環境価値を購入する「エネルギー属性証書」
5.特定の国・地域で認められる「標準供給電力」(日本は該当しない)

表1.RE100の技術要件が定めた自然エネルギーの電力調達方法
出典:「RE100 Technical Criteria, Version 4.0」(2022年10月)をもとに自然エネルギー財団が作成

 それぞれの調達方法ごとに、CO2削減効果の大きさを考慮して新たな要件を規定した。RE100では評価者の立場によって解釈が分かれる追加性(additionality)の代わりに、CO2削減効果(impact)と表現している。需要家が自然エネルギーの発電設備の追加に貢献する自家発電(タイプ1)と直接調達(タイプ2)はCO2削減効果が明確なため、従来どおり制限を設けない。ただし直接調達のうち、送配電網を経由して電力を供給するオフサイトのコーポレートPPAについては、運転開始時に長期契約を結ぶことが前提になる。

 一方、電力供給契約(タイプ3)によって小売事業者から自然エネルギーの電力を購入する場合には、運転開始から15年以内の発電設備に限定する。RE100の新しい技術要件では、運転開始から15年以上を経過した発電設備の電力は適合しない。日本では古くから稼働している水力発電所の電力を主体にした小売メニューを大手の電力会社が販売しているが、RE100の要件を満たさなくなる(運転開始から15年以内の環境負荷の低い水力発電所の電力だけで構成する小売メニューであれば適合)。小売メニューでもコーポレートPPAと同様に、新設の発電設備を対象にした長期契約(発電設備特定供給)の場合には、運転開始から15年以上を経過しても購入し続けることが可能である。

 同じ要件はエネルギー属性証書(タイプ4)を購入する場合にも適用する。運転開始から15年以内の発電設備の証書に限定する。日本国内では非化石証書、グリーン電力証書、J-クレジット(再エネ発電)が対象になる。非化石証書はトラッキング付きで、運転開始から15年以内の発電設備による証書であれば要件に適合する。グリーン電力証書とJ-クレジット(再エネ発電)は運転開始日の情報が公開されていないこともあり、要件を満たさないものが数多くあるとみられる。このほかに差金決済取引(卸電力市場の価格変動に伴う差額精算)を伴わないバーチャルPPAは、RE100では証書だけの調達とみなしてタイプ4に区分する。その場合でも新設の発電設備を対象にした長期契約であれば、直接調達(タイプ2)のコーポレートPPAと同様の扱いになり、運転開始から15年以上を経過しても契約を継続できる(表2)。

表2.調達タイプごとの制限と日本国内の調達方法(赤で示した調達方法は運転開始から15年以内の制限の対象)
出典:「RE100 Technical Criteria, Version 4.0」(2022年10月)をもとに自然エネルギー財団が作成

 RE100の加盟企業は2024年1月以降に調達する自然エネルギーの電力に対して、新しい要件を適用する必要がある。ただし年間の電力使用量のうち15%までは、運転開始から15年以内の要件を満たさない電力や証書の使用が例外的に認められる。とはいえ、要件に合わない電力や証書の使用をできるだけ早期に減らすことが求められる。

 RE100の新しい技術要件はCO2削減効果をもとに自然エネルギーの電力の調達方法を規定したもので、地域全体の脱炭素を推進する企業や自治体にとって電力調達の指針になる。この要件に合う自然エネルギーの発電設備が増えていけば、火力発電による電力が減って、地域全体のCO2排出量を低減できる。企業や自治体が電力の調達を通じて気候変動の抑制に貢献できる。

バイオマスと水力は持続性のあるものに制限

 このほかに発電に使用するエネルギー源に関しても、より厳格な判断基準を設けた。風力・太陽光・地熱は従来通り制限を設けないが、バイオマス(バイオガスを含む)と水力については持続性のあるものに限定することを明記した。ISO(国際標準化機構)などの第三者機関の認証によって持続性を証明できる発電方法や燃料を推奨している。水力は環境負荷の小さい発電方法であることをNGO(非政府組織)などの認証によって証明できることが求められる。RE100では環境面と社会的な持続性を考慮しながら、バイオマスと水力に関する新たな要件を引き続き検討する方針だ。

 脱炭素の手段として注目を集める水素に関しては、エネルギー源の対象に含めない。RE100では水素をエネルギー源ではなくて、エネルギーのキャリア(伝達手段)とみなす。水素の製造に使用するエネルギー源の種別によって、要件に合致するかどうかを判断する。現時点では風力・太陽光・地熱、持続性のあるバイオマスや水力の電力を使って製造した水素であれば要件に適合する。それ以外のエネルギー源で製造した水素は要件に適合しない。同様に蓄電池などのストレージ(貯蔵手段)もエネルギー源とみなさず、貯蔵する電力のエネルギー源で判断する。


<参考資料>
1)RE100 Technical Criteria, Version 4.0 October 2022, RE100
2)電力証書が自然エネルギーを増やす:日本と海外で隔たる制度 2022年4月、自然エネルギー財団

<関連コラム>
追加性が自然エネルギーの選択基準に、RE100も採用へ(2022年6月24日)

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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