電力証書が自然エネルギーを増やす日本と海外で隔たる制度

2022年4月25日

in English

公益財団法人 自然エネルギー財団は本日、「電力証書が自然エネルギーを増やす:日本と海外で隔たる制度」を発行しました。 

自然エネルギーの電力であることを証明する手段として、電力証書が世界各国で広く使われています。どのような方法で発電した電力でも物理的には同じですが、環境価値(資源が持続可能、CO2を排出しない、などの特性)には違いがあります。発電に利用したエネルギー源の種類などを電力証書で明示することによって、電力の供給者や需要家は調達する電力の環境負荷を評価でき、CO2排出量の報告にも利用できます。環境負荷が低い自然エネルギーの電力を増やしていくうえで、電力証書が重要な役割を果たします。

欧州ではEU(欧州連合)の加盟国を中心に共通の電力証書の制度を設けて、自然エネルギーの電力に対して証書の発行を義務づけています。北米やその他の地域の多くの国においても、国際的なルールに基づいて電力証書を発行・使用することができます。日本では経済産業省が2018年に非化石証書の制度を創設したことを機に、電力の供給者や需要家が自然エネルギーの電力あるいはCO2を排出しない電力の証明手段として標準的に使用するようになりました。しかし非化石証書にはエネルギー源の種類が明示されていないなど、海外の電力証書と比べて遅れている点が多く、国際的な観点で信頼性のある制度とはみなせません。非化石証書のほかにも2種類の電力証書があり、それぞれで発行条件などが異なります。需要家にとって日本の電力証書の制度は複雑で、自然エネルギーの電力を調達するうえで大きな課題になっています。

本レポートでは、電力証書の仕組みや基本的な要件をもとに、世界の主要国で使われている電力証書の制度や運営システムについて解説しました。証書の発行状況や取引価格の動向にも触れています。さらに非化石証書を中心に日本の電力証書の現状を分析して、問題点を明らかにするとともに、国際的に通用する信頼性の高い電力証書の制度を確立するための改革案を提示します。


<目次>
はじめに:信頼性の高い電力証書へ
第1章:電力証書の役割、求められる要件
 1-1.電力の環境価値と証明方法
 1-2.電力証書の使用方法
 1-3.電力証書の要件
 1-4.証書システムの全体像
第2章:世界各国・地域の電力証書
 2-1.欧州のGO
 2-2.北米のREC
 2-3.欧州・北米以外のI-REC
 2-4.その他の電力証書
第3章:日本の電力証書、問題点と改革案
 3-1.非化石証書
 3-2.グリーン電力証書とJ-クレジット
 3-3.日本の電力証書の問題点
 3-4.改革案

 

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

当サイトではCookieを使用しています。当サイトを利用することにより、ご利用者はCookieの使用に同意することになります。

同意する