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EUの新2030年目標は自然エネルギーで最終エネルギー消費の32%を供給する

2018年7月4日

トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長
ロマン・ジスラー 自然エネルギー財団 上級 研究員

in English

産業界と市場、特に電力部門で自然エネルギーの導入が劇的に増えたことから、EUの政策立案者はさらに野心的な目標を掲げた。

欧州では自然エネルギーが、コストの安い選択肢となっている。太陽光または風力資源は限られているが、欧州の製造業者または設置業者の技術開発が自然エネルギーの価格低下をもたらした。エネルギー事業者は、ドイツやオランダの洋上に設置されている風力発電でも補助金を申請していない。

欧州の各電力取引所での電力価格は、各国毎に3.5~7円/kWhとばらつきがあるものの、今後数年にわたり約5円/kWhである。

こうした時代の流れは、欧州の大手電力会社に自社の発電ポートフォリオの全面的な見直しを迫った。E.ON(エーオン)が2014年末に新会社の設立を発表して以降、EDF(フランス電力会社)、エネル、エンジー、RWE、イベルドローラ、ヴァッテンフォール、EDP(ポルトガル電力公社)などは、欧州で50 GWを大きく超える化石燃料発電を閉鎖または売却し、代わりに数ギガワットの風力および太陽光を自社のポートフォリオに追加した。

このような産業界および市場の動向を見て、EUの政治家は反応した。汚染度が高く、危険な化石燃料やウランの輸入への依存を軽減する自然エネルギーは、経済的な利益がある。2018年6月14日に、EUの最終エネルギー消費における自然エネルギーの目標値を2030年までに32%に引き上げる決議をしたのだ。これまでは2030年までに27%、2020年は20%という目標を掲げていた。EUの2016年の自然エネルギーの割合は17%であるから、新しい目標は約2倍に相当する目覚ましいものだ。しかし、EU加盟各国政府および議員はさらなる前進を期待しているため、産業界での自然エネルギーの発展が継続しているなら、2023年の時点で目標値を上方修正する可能性があるとの決定を下した。

この目標値は、電力だけではなく、交通部門も含む全エネルギーを対象としている。輸送部門では自然エネルギーの利用は依然としてコストが高いため(2016年は7%にすぎない)、電力部門の自然エネルギーの割合は、2030年までに32%を大きく上回ることが予想される。32%は今年中に十分達成可能な範囲であることから、少なくとも50%と考えられる。

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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