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世界の自然エネルギーと原子力:2017年の動向

2018年3月9日

世界の自然エネルギーと原子力:2017年の動向

トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団理事長
ロマン・ジスラー 自然エネルギー財団研究員

in English

 2017年に、自然エネルギーによる電力事業はビジネスとして急成長を遂げた。これまでもビジネスとして成立していなかったわけではないが、従来は火力発電よりもコストが高くて補助金に頼っていた。

 それが2017年のあいだに世界の多くの国において、太陽光や風力の電力が新設の石炭火力や原子力をはるかに下回る価格で提供されるようになった。太陽光と風力発電の契約価格は、1キロワット時あたり約2~5米セントまで下がった。欧州では洋上風力発電も補助金なしで供給できるようになり、ドイツとオランダではスポット市場で取引されるようになった。

 しかも新設の石炭火力や原子力と比べて、わずかに安いというレベルではない。イギリスで建設中のヒンクリー・ポイント原子力発電所の電力の価格(約15米セント)の3分の1以下なのである。

 2017年の自然エネルギーによる全世界の発電量は、化石燃料を使った火力発電よりも増加したとみられる。風力と太陽光の発電量を合わせると、1980年代に原子力発電が急速に成長した時を上回っている。米国ではトランプ大統領が“美しくクリーンな石炭”を支持すると発言したにもかかわらず、化石燃料による発電量は大幅に減少した。

 短期的に見ると、原子力発電は開発が進んでいる、と主張する人がいるかもしれない。中国と日本の発電量は増加し、他の国の減少分を上回った。国際原子力機関(IAEA)のデータによると、世界全体の導入量は少しだけ増えている。新たに4基の原子炉(合計330.5万キロワット)が稼働して、5基の原子炉が運転を永久に停止した。停止した原子炉は古くて小型で、合計302.5万キロワットだったことから、全体では28万キロワット増加している。

 しかし長期的には、世界の原子力産業にはかなり悪い兆しが2つ見える。1つ目は、米国で約100億ドルをかけて建設中だった2件のプロジェクトが中止になったこと。もう1つは、中国で新たに原子炉の建設を開始したという報告が1件もないことだ。

 どちらの場合も、背景にあるのは自然エネルギーの経済的な優位性である。米国では、太陽光・風力発電のコストの低さが投資に拍車をかけ、より安い価格でより多くの自然エネルギーの電力を供給できるようになった。原子力は補助電源としての柔軟性がなく、蓄電池とガス火力発電のほうが低いコストで補助電源の役割を果たせる。

 一方の中国では、化石燃料による大気汚染を低コストで早急に削減するために、自然エネルギーの電力を優先して利用するようになった。原子炉を建設するよりも太陽光・風力発電を増やすほうが早くて費用も安い。中国では風力発電が原子力発電の供給量を上回って急速に成長している。大国の中国では今後数年間はあらゆるものを建設し続ける可能性があるとはいえ、明らかに自然エネルギーへの転換を優先している。

 世界には産業の規模を保ちながら、市場の障壁を取り除いて、極めて低コストの電力を利用者に供給している国がいくつもある。そうした国々では、自然エネルギーは補助金がなくても成長する最も安価な電源になった。化石燃料の輸入コストとともに大気汚染を削減できる経済的なメリットは、将来に向けて地政学的な意味合いも持つことになるだろう。

外部リンク

  • 自然エネルギーで豊かな日本を創ろう!アクション
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织