連載コラム 自然エネルギー・アップデート
米国における自然エネルギーの発展は続く
トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長
ロマン・ジスラー 自然エネルギー財団 研究員ー
米国での自然エネルギーの発展が、なおも続いている。自然エネルギーの発電コストは下がり続け、その結果、電源の転換が進んでいる。太陽光や風力の発電コストは、すでに3~5円/kWhにまで低下している1。
2017年第1~3四半期の発電量を前年同期比で見ると、化石燃料火力は135TWhの減少、原子力は9TWhの減少であったのに対して、自然エネルギーは70TWhの増加となった。米国の総電力消費量は、エネルギー効率化のおかげで約75TWh減少した 2。
見通しを誤った企業では、損失が生じている。
原子力業界では、ウェスティングハウスが破綻したのに加え、サマー原子力発電所が建設半ばで中止となり、約100億ドルの投資が無駄になった。
石炭業界では、世界最大の石炭企業ピーボディ・エナジー社の米国事業が2016年に破綻した。2010年以降、米国の石炭火力発電所の半数以上が、閉鎖または閉鎖の決定を行っている 3。
米国では自然エネルギーによる発電が急速に発展しているように思われるが、中国における進展と比較すると依然として規模が小さい。中国は今年、太陽光発電を約50 GW新規導入しようとしている。これは2017年初頭における日本や米国の累積設備容量を上回っているが、おそらく2017年末には、日本と米国の累積容量はこれに匹敵することになるだろう。