風力と太陽光が世界の主要国で拡大、2017年の増加量の半分以上を占める
中国とインドを含む世界の主要国の発電量が2017年に5330億kWh(キロワット時)の増加だったことが、IEA(国際エネルギー機関)などの調査で明らかになった。増加分のうち53%は自然エネルギー(水力とバイオエネルギーを除く)を利用したもので、大半は風力発電と太陽光発電である。IEAによるOECD(経済開発協力機構)加盟国のデータに加えて、中国とインドの電力統計データを集計した。全世界の発電量の約75%を占める。特に中国で発電量が大幅に伸びて、1年間に3930億kWhも増えている。
世界の主要国における発電量の増加(2017年)

- 注:火力には石炭・石油・ガスのほかに、バイオ燃料と廃棄物を含む。水力には揚水式を含む。
自然エネルギーには風力・太陽光・地熱・海洋、およびその他の不燃物による電源を含む。
その他のOECD加盟国にイスラエルは含まない。 - 出典:中国電力企業連合会(China Electricity Council)、中国国家エネルギー局(National Energy Administration)、
インド中央電力庁(India Central Electricity Authority)、国際エネルギー機関(International Energy Agency)
自然エネルギーを利用した発電量でも、中国が1150億kWhの増加で最大だった。次いで欧州の590億kWh、米国の510億kWh、インドの190億kWh、日本の160億kWhの順である。
火力発電も増加したが、すべての国・地域で増えたわけではない。中国で2240億kWh増加したほか、インドでも350億kWh増えた。さらに欧州では水力発電が例外的に不振だったことに加えて、フランスで原子力発電の混乱が続いた結果、火力発電が550億kWh増加している。対照的に米国ではトランプ大統領の化石燃料推進政策にもかかわらず、1360億kWhも減少した。日本でも200億kWh減っている。
原子力発電は引き続き低迷しており、各国の合計で190億kWhの増加にとどまった。中国では350億kWh増えたが、自然エネルギーの増加量と比べると3分の1以下である。
IEAは世界全体の統計データも発表している。それによると2017年に全世界で増加した発電量のうち49%を自然エネルギー(水力とバイオエネルギーを含む)が占めた。国別のデータは現時点で公表していない。