自然エネルギーの大量導入と火力・原子力の削減は両立する
欧州連合(EU)では2000年から2017年のあいだに、2億9100万キロワットにのぼる自然エネルギーの発電設備を増加させた。そのうち92%を風力と太陽光が占めている。一方で従来型の火力と原子力を合わせると、わずかだが200万キロワット減少した。ガス火力が9700万キロワット増加したにもかかわらずだ。
2000年からの17年間で石炭火力は4100万キロワット、石油火力は4000万キロワット、原子力は1700万キロワットも減少した。大気汚染の原因になる石炭・石油火力と安全性に不安がある原子力に代わって、自然エネルギーがEU域内で拡大したことを示している。
こうした状況からわかることは、風力と太陽光を大量に導入しながら、同時に火力と原子力を削減することが可能であるという点だ。つまり、天候によって出力が変動する自然エネルギーの発電設備を増やしても、電力システムのバランスを維持するために従来型の発電設備を同じ規模で確保する必要はない。