公益財団法人 自然エネルギー財団はこのたび、「エネルギー転換の加速がもたらすエネルギー安全保障効果:2026年ホルムズ海峡閉鎖危機に際して」を公表しました。
2022年のエネルギー危機以降、日本は化石燃料価格の急騰に見舞われ、それに対応するため2022〜2025年度だけで総額13.6兆円にのぼる巨額のエネルギー補助金を投じてきました。そして2026年2月末、米・イスラエルによるイラン攻撃を発端にホルムズ海峡が事実上封鎖されました。日本が輸入する原油の9割以上がこの海峡を経由していました。危機を受け、政府は石油備蓄を開放するとともに一度停止したエネルギー補助金を再び復活させています。
エネルギー補助金は、急騰したエネルギー価格から家計・産業を守るため、一時的にはやむを得ない側面もありますが、対症療法にすぎません。さらに、エネルギー補助金は価格シグナルを遮断し、省エネや代替エネルギーへの転換へのインセンティブを消してしまいます。それは化石燃料に依存する社会システムの脆弱性を温存することにもつながります。化石燃料への輸入依存こそがエネルギー危機の根源である以上、本質的な解決には構造転換が不可欠です。
もし、2022年のエネルギー危機を機に日本がエネルギーの構造転換を加速させていたとしたら、2026年のホルムズ海峡閉鎖によるエネルギー危機の影響をどの程度緩和できたでしょうか。本報告書では、電力需給シミュレーションモデルを用いて、その効果を明らかにしました。
<目次>
はじめに
1. 現代の日本のエネルギー需給構造からみる化石燃料依存度と構造転換
1.1 現代日本のエネルギー需給構造の概要
1.2 化石燃料依存度低減に向けた方向性
2. 2022年のエネルギー危機への対応
2.1 2022年のエネルギー危機に対する欧州の対応
2.2 2022年のエネルギー危機時に対する日本の対応
3.日本が構造転換を加速させていた場合のエネルギーコスト試算
3.1 構造転換加速ケースの想定
3.2 構造転換加速ケースならば2026年度上半期はどうなっていたか:電力・燃料コストへの影響
4. 今後の政策優先順位への示唆
4.1 短期:対症療法の限界を直視する
4.2 中長期:対症療法と構造転換の同時設計
4.3 今すぐ着手し、長期で積み上げること
参考文献
<関連リンク>
報告書 今こそ化石燃料からの転換加速を:日本を守り強くするエネルギー政策の提案(2026年4月17日)
コメント 中東危機:今こそエネルギー転換の加速を 自然エネルギー拡大こそ化石燃料依存からの脱却の切り札(2026年3月18日)





