太陽光発電は世界各国で目ざましい進展を続けている。コスト競争力が最大の要因だが、エネルギー安全保障や経済の脱炭素化に対する貢献も大きい。住宅などの分散型システムではエネルギーを自給できるメリットがある。2025年に全世界の太陽光発電は設備容量で510GW(ギガワット=100万キロワット)、発電電力量で636TWh(テラワット時=10億キロワット時)の増加になり、いずれも過去最高だった。これほど拡大した結果、経済面と技術面で新たな課題が生まれた。電力市場の取引価格がマイナスになり、出力抑制も増えている。それと同時に、蓄電池システムや革新的な小売電力プランといった解決策の開発に拍車がかかってきた。
中国に続いてEU、インド、米国でも活発
世界の太陽光発電の設備容量は2025年に510GW増加して、過去最高を記録した(図1)。累積の設備容量は2838GWに達した。
図1 太陽光発電の年間の新設設備容量(世界、2010~2025年)
2025年は中国の増加が314GWにのぼり、全体の62%を占めている(図2)。欧州連合(EU)が56GW、インドが37GW、米国が34GWで続く。日本は大きく遅れをとって3GWにとどまった。
図2 主要国における太陽光発電の年間の新設設備容量(2025年)
それぞれの国ごとに状況が異なり、太陽光発電の開発に影響を与えている。
中国では新設の太陽光発電の設備容量が2024年の277GWから2025年に314GWへ大幅に増加した。その大きな要因は、2025年6月1日に太陽光発電に対する補助金(差金決済メカニズム)を縮小したことである。1月から5月までの設置件数が増えて、年間の新設設備容量の63%を5カ月間で達成した。
EUでは電力の取引価格が世界の水準よりも高く推移した。とりわけ化石燃料とカーボンプライシングが電力の価格に大きな影響をもたらす国では顕著な傾向が見られる。
ドイツでは2025年に電力の59%を太陽光などの自然エネルギーで供給したが、ガスの価格とカーボンプライスの高騰によって電力の取引価格が年間の平均で101ドル/MWh(メガワット時=1000キロワット時)に達した(以下、すべて米ドル)1。新設の太陽光発電のコスト(54ドル/MWh)と比べて2倍近い価格になっている2。このコストの差によって新設の太陽光発電が15GW増加した。
フランスでは原子力発電が電力の価格を決めるうえで大きな役割を果たす。2025年の電力の取引価格は平均69ドル/MWhでドイツよりも低かった3。新設の太陽光発電のコストはドイツと同じくらいの水準で、経済的なメリットはドイツよりも小さい。それでも2025年に太陽光発電の設備容量が6GW増えている。
インドでは石炭火力の競争力が依然として高く、発電コストは30ドル/MWhである。燃料のコストが低く、カーボンプライシングも実施していない。一方で電力の需要が急速に拡大して、2020年と比べて30%以上も増えている4。太陽光発電のコストは25ドル/MWhで競争力は十分にある。初期投資が少なくて済み、設備利用率(設備容量に対する発電電力量の比率)は他の国よりも高い19%に達する。開発・建設の期間が通常は2年程度で済み、石炭火力の7年と比べて短いことも、太陽光発電の新設を後押ししている5。
米国ではトランプ大統領が税額控除などクリーンエネルギーに対する優遇策を撤回し、高額の輸入税を課したが、太陽光発電の開発は堅調だ。新設の設備容量は前年2024年の38GWからわずかに減って34GWだった。中国、EU、インドと違って、米国では太陽光が最もコスト競争力の高い発電方法ではない。既設のコンバインドサイクルガスタービン(CCGT)の発電コストが約30ドル/MWhで、新設の太陽光発電の2分の1程度である。太陽光発電に対する補助政策が望まれる状況だ6。
日本では2024年と2025年の2年連続で新設の太陽光発電の設備容量は約3GWにとどまった。発電コストは69ドル/MWhで、既設の石炭火力(54ドル/MWh)よりも高いが、既設のガス火力(92ドル/MWh)と比べれば大幅に低くなった。既設の原子力と比べてもコスト競争力は十分にあると考えられるが、原子力に関してはコストに関するデータが限られているため比較がむずかしい。日本で太陽光発電が伸び悩む要因は、経済的な問題ではない。制度の問題(原子力を優先させる給電ルールによって太陽光の出力抑制が増加するなど)、社会的な問題(地域社会との共生など)、地理的・政治的な問題(中国からの輸入品に対する懸念など)が障壁になっている。
2040年には全世界の電力の25~40%を供給
新設の太陽光発電の設備容量が記録的に増えたことによって、年間の発電電力量も2025年に過去最高の636TWhに拡大した(図3)。
図3:太陽光による年間の発電電力量(世界、2010~2025年)
出典:Ember, Global Electricity Review 2026 (2026年4月)
2025年に全世界の電力需要は849TWh増えた。その増加分の75%に相当する電力を太陽光発電が供給した。電源構成では8.7%を占める規模になった(図4)。2010年にわずか0.2%だったのと比べると、大幅な伸びである。
図4:世界全体の電源構成(2025年)
出典:Ember, Global Electricity Review 2026 (2026年4月)
太陽光による発電電力量は2025年に風力を超えた。2026年には原子力も上回る見込みだ。国際エネルギー機関の報告書「World Energy Outlook」によると、太陽光発電は2040年までに最大の電力供給源になる。将来の進展シナリオによって差はあるが、電力全体の25~40%を太陽光発電が占めると予測している7。
これほどの増加をもたらす要因は、やはりコスト競争力である。各国の政策的な支援によって太陽光発電産業が拡大して、技術の進展と規模の経済をもたらした。サプライチェーンにおける供給過剰の状態が続いて、今後も製造事業者はコストダウンを迫られる。世界全体で見ると、新設の発電設備のコストでは太陽光が最も低い(図5)。
図5:電源種別に見た新設の発電設備のコスト(世界、2025年)
出典:BloombergNEF, Levelized Cost of Electricity 2026 (2026年2月) [要購読]
太陽光発電は導入できる場所が極めて多様なことも利点の1つである。住宅や商業施設の屋根、農地、駐車場、さらに水上にも設置できる。どのような規模でも導入可能だ。このような柔軟性によって、太陽光発電は全世界で膨大な導入ポテンシャルがある。
電力の取引価格がマイナスに、蓄電池と新タイプの小売プランを拡大
太陽光発電は低コストなことに加えて、発電に必要な追加コスト(限界費用)がほぼゼロであるという利点がある。欧米で採用しているメリットオーダーの原則(追加コストが低い電力から供給するルール)のもとでは、電力市場に最初に供給される(風力も同様)。
ただし太陽光が発電する電力は日中に集中するために、電力の取引価格がマイナスになる時間帯が数多くの国で拡大している。欧米では取引価格がマイナスになるネガティブ・プライシングを採用している。西欧のフランス、ドイツ、オランダ、スペインでは、2025年に電力の取引価格がゼロ以下になった時間帯が年間に650~800時間に及んだ8。
もう1つの問題は出力抑制である。日中の電力供給量が増えて需要を上回る可能性がある場合には、発電設備の出力を低下あるいは停止させる必要がある。たとえばチリでは、2025年に太陽光発電の比率が国全体の電力の25%になり、出力抑制率(想定発電電力量に対する抑制電力量の比率)が17%に達した9。
その一方で太陽光発電の電力が日中に集中する課題を解決するために、蓄電池システムや革新的な小売電力プランなどの新しい対策が生まれている。
2025年には全世界の蓄電池の新設容量が過去最高の247GWh(ギガワット時=100万キロワット時)に達した(図6)。
図6 蓄電池の年間の新設容量(世界、2016~2025年)
蓄電池は太陽光発電と同様に大量生産の恩恵を受けて、2016年から2025年までの10年間にコストが84%も低下した。長年の習熟効果、技術の進化、さらに中国のメーカーを中心とする競争の激化によるものだ。
蓄電池の用途は電力系統を安定させるという当初の限られた役割から拡大して、現在では日中の余剰電力を蓄えて夜間に供給する基幹の電力インフラとしての役割が高まっている。
一方で事業用の太陽光発電は電力の取引価格の低下に直面している。このため蓄電池を併設する方法が世界各国で主流の開発モデルになりつつある。2025年には事業用の太陽光発電のうち4分の1が蓄電池を併設する形で建設された10。蓄電池システムを併設することによって、電力系統を効率的に使えるようになる。新たな収入を生み出すために、より価値の高い時間帯に太陽光発電の電力をシフトさせることが可能になる。
太陽光発電による低コストの電力の消費を促すことも重要な対策になる。その点で注目すべき取り組みが2つある。
1つ目はオーストラリア政府の「Solar Sharer Offer」である11。ニューサウスウェールズ州、南オーストラリア州、クイーンズランド州の南東部で、2026年7月1日に始まる新たな電気料金制度だ。小売電気事業者は家庭向けに、日中の3時間以上の電力を無料で提供することが求められる。3つの地域の家庭では、該当する時間帯に消費する電力のコストを1kWh(キロワット時)あたり0.20~0.28ドル節約できる12。
2つ目はフランスの配電システム運営事業者Enedisが2025年11月1日に全国で開始したピーク時間とオフピーク時間の見直しである。太陽光発電と電力消費のタイミングが整合するように改善した13。消費者は1日あたり8時間のオフピーク、そのうち5時間以上を連続させる形で、価格の安い電力を使うことができる。フランスの家庭向けの規制料金プランでは、オフピークの料金がピーク時間の料金よりも0.05ドル/kWh安くなる14。
太陽光発電は世界の電力セクターを大きく変え始めた。経済的で脱炭素の効果がある電力を提供して、エネルギーの安全保障と耐久力を強化することができる。電力系統に統合するためには経済的・技術的な課題が残っているものの、より進化した市場ルールの適用を含めて、さまざまな解決策を実施することが可能になった。
- EPEX SPOT, Annual Trading Results of 2025 – Overall Record Across All Market Segments (January 2026).
- Unless otherwise stated, all power generation cost data in this column is from BloombergNEF, Levelized Cost of Electricity 2026 (February 2026) [subscription required].
- EPEX SPOT, op. cit. note 1.
- Ember, Global Electricity Review 2026 (April 2026).
- BloombergNEF, op. cit. note 2.
- Lazard, Levelized Cost of Energy + (June 2025).
- International Energy Agency, World Energy Outlook 2025 (November 2025).
- BloombergNEF, Global PV Market Outlook 2026 Q1 – Batteries to the Rescue? (February 2026) [subscription required].
- Asociación Chilena de Energías Renovables y Almacenamiento, Statistics (accessed May 8, 2026) [in Spanish].
- BloombergNEF, Solar Co-Locates with Batteries to Protect Revenue – April 30, 2026 (accessed May 8, 2026) [subscription required].
- Australian Government – Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water, Solar Sharer Offer to Cut Electricity Bills – January 23, 2026 (accessed May 14, 2026).
- Australian Energy Council, Solar Report 2025 Q2 (August 2025).
- PV Magazine, France Revises Off-Peak Hours to Match Solar Generation Patterns – November 3, 2025 (accessed May 14, 2026).
- Connaissance des Energies, Off-Peak and Peak Hours: What Are the Benefits for Your Electricity Supply? – August 26, 2025 (accessed May 14, 2026) [in French].




