21世紀のエネルギー産業の発展エネルギー大国日本を実現する機会

トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長

2025年9月8日

in English

(英語の原文は、2025年9月4日公表)

 20世紀の日本は、エネルギー供給と電力生産を、石油・石炭・ガス・ウランに大きく依存する輸入依存国だった。島国である日本にとって、遠隔の燃料供給国からの途絶は常に脅威であり、対策としては、石炭や石油、 ウラン燃料を可能な範囲で備蓄することだった。しかし、燃料の継続的流入が絶たれれば、発電所は停止、自動車も走行できなくなるという脆弱性は解消されなかった。

 21世紀、世界の電力セクターは大きく変化している。2024年には、新規に導入された発電設備容量の90%以上が自然エネルギーであり、化石燃料やウランに依存しないものだった。ドナルド・トランプ政権下の米国でさえ、2025年最初の5か月間における新規発電設備容量の90%以上が自然エネルギーだった。太陽光発電と陸上風力を中心とした自然エネルギーの経済的メリットは、市場経済圏だけでなく中国においてもそれを不可避なものにしている。

 太陽光発電と陸上風力は、今では世界の大半の地域で最も安価な電力源となっている。さらに重要なのは、過去10年間で、太陽光と風力による電力の総コストが原油価格を下回る国が増加している点だ。これにより、運輸セクターで石油を電力に置き換えることが現実的な選択肢となった。電気自動車の生産が始まると、蓄電池産業は規模を拡大し、産業の学習効果と規模の経済の相乗効果により、蓄電池は極めて安価になった。その結果、蓄電池は電力系統にも利用できるほど安くなり、火力発電所よりも低コストで安定性と調整力を提供できるようになった。これはカリフォルニア州オーストラリアで明確に実証されている。

 中国は機会を的確に捉え、技術的可能性と産業的学習に基づく戦略をとってきたようだ。必要な鉱物資源の一部を輸入する必要があったとしても早期に対応し、自国向けはもちろん、世界市場の大部分に供給する装置の製造において主導的な地位を確立した。

 日本が太陽光や風力による電力で燃料輸入から自立する機会は、一種のジレンマとして捉えられる可能性がある。すなわち、ウラン、石炭、石油、ガスの継続的な輸入依存を脱却しても、新たに太陽光パネルや風力発電設備の輸入依存へと置き換わるだけではないか、という点である。

 国際エネルギー機関(IEA)は、一つの相違点を示している。太陽光パネルを積んだコンテナ船1隻の輸送で、液化天然ガス約50隻分、あるいは石炭約100隻分に匹敵する電力量を賄うことができる、というのである。

 そして、燃料輸入への依存と設備輸入への依存との間には、2つの重要な違いが存在する。

 第一に:燃料輸入が途絶えれば火力発電所は発電を停止する。自動車も給油できず稼働できなくなる。しかし、太陽光や風力発電設備の輸入が途絶えたとしても、既存の設備は稼働を継続し、蓄電池の充電や電気自動車の走行も維持可能である。

 第二に:日本は太陽光パネル、風力発電設備、蓄電池など一連の機器を自ら生産する能力を有している。しかし現在ではその生産インセンティブが失われ、中国や欧州の産業がより競争力を持ち、低価格で製品を供給している。とはいえ、必要とあれば適度な追加コストで国内生産は可能である。これに対し、国内からウラン、石炭、石油、ガスを必要量確保するためのコストは、桁違いに膨大になる。

 日本にとって21世紀のエネルギー産業の進展は、「エネルギー大国」としての未来を切り拓く絶好の機会である。

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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