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統計を読む固体バイオマス燃料の消費量

相川 高信 自然エネルギー財団 上級研究員

2021年10月18日

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 自然エネルギー財団では、木質バイオマスやPKSなどの固体バイオマスの燃料消費量について、複数の統計を組み合わせて集計したデータを掲載している1。ここでは、林野庁「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」をベースに、日本製紙連合会が整理している回収黒液の使用量、また貿易統計で把握できる輸入バイオマス(PKSと木質ペレット)のデータも加え、固体バイオマス燃料の全体像を明らかにしている。

 

図1:固体バイオエネルギー燃料の消費量の推移(100万絶乾トン)
 
注:絶乾tへの換算時にあたり、水分率を木質ペレット15%、PKS20%とした。黒液は高位発熱量(13.2GJ/絶乾t)を用いて、重量換算を行った。輸入チップには、輸入丸太を用いて国内でチップ化したものが含まれる。
出典:林野庁「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」(参照:2021/10/1)より作成。輸入バイオマスについては、貿易統計(HSコードは、木質ペレット:440131000、PKS:230660000と140490200)より、回収黒液は日本製紙連合会「紙パルプ産業のエネルギー事業」各年版から把握し、2020年については紙・板紙生産量から推計した。

2020年までの発展状況

 2015年以降、固体バイオマス燃料の使用量は毎年4〜8%のペースで一貫して増加しており、2020年には初めて2,500万t(絶乾ベース、以下同様)を超えた(図1)。最も大きな伸びを示しているのは、「間伐材・林地残材等」であり、2015年から2020年までに3倍以上に増加し、2020年には390万tとなっている。加えて、輸入木質ペレットとPKSも大幅に増加し、2020年の使用量は、それぞれ163万t、285万tだった。これら3種類の燃料の増加は、FIT制度による発電所が増えたことによるものだと考えられる。

 一方で、利用量は横ばいであるものの、引き続き太宗を占めているのは、回収黒液と建築資材廃棄物(解体材、廃材)の廃棄物系のバイオマスであり、2020年はそれぞれ1,003万tと417万tだった。回収黒液は製紙工場において、熱電併給に用いられているが、自家発電に分類されることもあり、エネルギー政策上、過小評価されているように思う。建築資材廃棄物は、FIT以前のRPS制度下の主要なバイオマス発電燃料であり、低コストでの発電が可能である点で重要である。
    
 これに「製材等端材」と「上記以外の木材(剪定枝)」、さらに「間伐材・林地残材等」と「木質ペレット(国産)」を加えれば、全利用量のおよそ8割を国内で発生する廃棄物・残渣系のバイオマスが占めていることが分かる。したがって、散見される「輸入バイオマスが大部分を占める」といった言い方は正確さを欠くと言える。ただし、原材料まで遡ると、製紙用パルプ材の自給率は30%程度、製材の自給率は50%程度である。同じ問題は、輸入量の多い農産物由来のバイオマス(家畜糞尿、食品廃棄物)にも当てはまり、むしろ日本の一次産業の問題と言えるだろう。

今後の統計データ整備の課題

 木材のエネルギー利用量は、資源エネルギー庁の総合エネルギー統計においても補足されている。ただし、林野庁統計と総合エネルギー統計の数字は一致しない部分がある。また、前者は暦年ベースであるのに対して、後者は年度ベースとなっているため、そもそも単純な比較ができないが、ここでは2019年を基準に、エネルギー単位換算した両者の数字を比較したものを示す(図2)。
 
図2:総合エネルギー統計と自然エネルギー財団集計値の比較
 
 
 まず、利用量の合計は、総合エネルギー統計では411.2PJとなっており2、自然エネルギー財団による集計結果の420PJと概ね一致する。しかし、その内訳は、以下のように一致しない部分が多く、対応関係が明らかになることが望ましい。

 確かに、総合エネルギー統計の木材利用99.2EJは、林野庁の間伐材・林地残材(59.8PJ)と製材等端材(33.8EJ)を合計した値(93.6EJ)と概ね一致する。一方で、総合エネルギー統計の廃材利用が41.2PJに対して、林野庁統計の建設資材廃棄物では80.2PJと、2倍近い開きがある。ただし、総合エネルギー統計では「バイオマスその他」という項目で108.8PJと大きな計上があり、ここにはPKSに加えて、林野庁統計での建設資材廃棄物が含まれている可能性がある。また、比較的対象事業者数が少ないと思われる黒液についても10PJ程度の差がある。

 最後に、輸入バイオマス燃料については、木質ペレットおよびPKSについては、対応するHSコードが特定できるため貿易統計から把握することができる。ところが、もし、ココナッツ殻などの新規燃料がFIT制度で認められ利用されるようになった場合、貿易統計では把握できなくなる恐れがある。そのため、発電所から燃料データを収集し、整理・公表していく仕組みを整備していく必要がある。

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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