自然エネルギー財団では、今年度の更新から、電力調査統計に基づくバイオエネルギーの発電量のデータ掲載を開始した。FiT案件だけではなく、混焼や自家発電など様々なバイオエネルギーの発電量を正しく把握し、今後の政策議論に貢献するためである。
電力調査統計は、1MW以上の容量を持つ全ての発電事業者を対象とした統計調査で、月次の速報と年度ごとの集計が公表されている。1MW未満の小規模な施設からの発電量については、「電気事業者以外の事業者からの受電電力量」というかたちで報告されている。
本統計では、バイオマスの専焼発電所はもちろんであるが、石炭火力発電所のバイオマス混焼による発電量も把握されている。そのため、発電所ではなく事業者単位であるが、混焼率なども計算することができる。発電事業者は個社名が全て公表されているため、個社単位での分析や、社名に基づく分類も可能である。加えて、自家発電についても地域単位及び全国単位で集計されている。
以上を踏まえて、2019年度と2020年度の2カ年について、類型ごとの発電量を整理したものが、下記のグラフである。
この結果、電力調査統計で補足されているバイオエネルギーの総発電量は、2019年度で313.6億kWh、2020年度は361.3億kWhであり、約15%増加していることがわかった。この増加は、バイオマス専焼の発電所によるものであり、基本的にはFiTによる支援を受けたものであると考えられる。
一方、新たなエネルギー基本計画の検討の際の資源エネルギー庁の資料では、総合エネルギー統計の時系列表の値が用いられていると思われ、2019年度の発電量は262億kWhとされており1、電力調査統計よりも50億kWh程度小さい数字である。資源エネルギー庁の資料は、FiT及びRPS制度による発電量が議論の対象になっていると推測される。それに対して、今回示した電力調査統計の集計では自家発電(約70億kWh)と、石炭火力発電所の混焼(約90億kWh)のうちFiT認定を受けていないものの発電量が計上されていることが、両者の違いとなって現れていると考えられる。
日本のエネルギー基本計画の中では、自家用発電は考慮されていないようであるが、IEAの統計などでは計上されていることを考えると、日本が報告する再生可能エネルギーの発電量は、国際的に見て過小評価されている可能性がある2。特に、バイオエネルギーの場合は、製紙工場での黒液や廃材利用を中心に、自家用発電の量が大きいため、その差が大きい。
また、これらの自家用発電も含めると、混焼によるバイオエネルギーの総発電量は約160億kWhと、2019年度で51%、2020年度で44%に相当する。低効率石炭火力発電所のフェードアウトの議論では、発電効率の計算において、バイオマス混焼による見かけの効率向上を含めることが認められている。そのため今後も石炭火力発電所におけるバイオマス混焼の発電量を的確にモニタリングしていくことも重要である。
自然エネルギー財団では、今後もデータに基づき現状を的確に把握し、建設的な政策提言に努めていきたい。
電力調査統計は、1MW以上の容量を持つ全ての発電事業者を対象とした統計調査で、月次の速報と年度ごとの集計が公表されている。1MW未満の小規模な施設からの発電量については、「電気事業者以外の事業者からの受電電力量」というかたちで報告されている。
本統計では、バイオマスの専焼発電所はもちろんであるが、石炭火力発電所のバイオマス混焼による発電量も把握されている。そのため、発電所ではなく事業者単位であるが、混焼率なども計算することができる。発電事業者は個社名が全て公表されているため、個社単位での分析や、社名に基づく分類も可能である。加えて、自家発電についても地域単位及び全国単位で集計されている。
以上を踏まえて、2019年度と2020年度の2カ年について、類型ごとの発電量を整理したものが、下記のグラフである。
日本のバイオエネルギー発電量
この結果、電力調査統計で補足されているバイオエネルギーの総発電量は、2019年度で313.6億kWh、2020年度は361.3億kWhであり、約15%増加していることがわかった。この増加は、バイオマス専焼の発電所によるものであり、基本的にはFiTによる支援を受けたものであると考えられる。
一方、新たなエネルギー基本計画の検討の際の資源エネルギー庁の資料では、総合エネルギー統計の時系列表の値が用いられていると思われ、2019年度の発電量は262億kWhとされており1、電力調査統計よりも50億kWh程度小さい数字である。資源エネルギー庁の資料は、FiT及びRPS制度による発電量が議論の対象になっていると推測される。それに対して、今回示した電力調査統計の集計では自家発電(約70億kWh)と、石炭火力発電所の混焼(約90億kWh)のうちFiT認定を受けていないものの発電量が計上されていることが、両者の違いとなって現れていると考えられる。
日本のエネルギー基本計画の中では、自家用発電は考慮されていないようであるが、IEAの統計などでは計上されていることを考えると、日本が報告する再生可能エネルギーの発電量は、国際的に見て過小評価されている可能性がある2。特に、バイオエネルギーの場合は、製紙工場での黒液や廃材利用を中心に、自家用発電の量が大きいため、その差が大きい。
また、これらの自家用発電も含めると、混焼によるバイオエネルギーの総発電量は約160億kWhと、2019年度で51%、2020年度で44%に相当する。低効率石炭火力発電所のフェードアウトの議論では、発電効率の計算において、バイオマス混焼による見かけの効率向上を含めることが認められている。そのため今後も石炭火力発電所におけるバイオマス混焼の発電量を的確にモニタリングしていくことも重要である。
自然エネルギー財団では、今後もデータに基づき現状を的確に把握し、建設的な政策提言に努めていきたい。