地域の自立を自然エネルギーで

佐藤 彌右衛門 会津電力株式会社 代表取締役会長 / 会津エナジー株式会社 代表取締役社長

2021年3月5日

in English

 2011年3月11日から始まった東京電力福島第一原子力発電所の事故は、日本に止まらず世界全体を震撼させ恐怖に落とし込んだ。日本史上始まって以来と言えるこの国の原発事故は福島をはじめとする地域に甚大な被害を与へ、10年を過ぎてもなお、放射能の汚染を受けた土地とその住民には物理的にも精神的にも非常な苦しみを与え続けている。つまり原発事故は今なお始まり続けているのである。

 この事故の解決は国が全面に出て国会において脱原発の議論を行うことであるが国は原発の議論から逃げ続けている。国は被害を受けた地域住民にはとにかくお金を出して復興を図れと県や市町村に押し付け、この時ばかりはと自治体の判断に任せるとして自らは責任を取らず自治体まかせの判断を押し付けている。このあり様は他人任せの卑怯な行為であり、国会議員だけでなく経済人、企業人にも言える。選択を恐れているこの国のオピニオンの沈黙は心寒いばかりである。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故は再生可能エネルギーの必要と必然を決定させ、私たちを会津電力の設立へ向かわせた。その後10年の歳月が過ぎた。ようやく一時は蛇行していた日本のエネルギー政策の議論も菅首相のカーボンフリーを定めた発言で方向性が出て来た。

 太陽光(赤色)、水力(水色)、風力(青色)、バイオマス(緑色)、地熱(土色)という五色の電気を発電し小売をする会津電力(株)、会津エナジー(株)は地域分散型で必要な分を必要なだけ電力を生産する。誰が、どんな場所で、どのような電力を生産をしているのかを思うことが大事なように、電気もどのような発電事業者なのか、どのような発電方法なのか、消費者はどのような電気を購入するのか、その関係こそが世の中の電力構造を変えていくのである。企業のPRやマーケティングに踊らされるのではなく生活者が本物を選択して購入することが大きな力となって世の中のエネルギー政策を変えそれが政治や社会を良くしていくのだと思う。

 蛇行する脱原発の流れとエネルギーの自給の流れの中で日本政府がこの流れを積極的に進めるのか、それともブレーキをかけるのかはこの国の大きな選択となっている。地域の資本を結集して、価格競争ではない、未来への創造のための地域電力事業を支持をお願いし我々もまたその期待に応えていく所存である。

 そして日本の地域の自立はエネルギー政策で可能となると予言する。
 

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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