[レポートの概要]
3メガバンクの1つ、三菱UFJ銀行が全国の店舗やオフィスで使用する電力を自然エネルギーに切り替えて、温室効果ガスの排出削減に取り組んでいる。同銀行を中核とする三菱UFJフィナンシャル・グループは、2030年度までに自社の排出量(Scope1・2)をネットゼロにする目標を2021年に掲げた。中間目標として2026年度までに50%の排出削減(2020年度比)を目指し、2年早く2024年度に目標を達成した(図1)。銀行が率先して排出削減を実行した成果である。しかし残っている排出量を6年間で削減しなくてはならない。
図1 三菱UFJフィナンシャル・グループの温室効果ガス排出量(Scope1・2)の実績と目標
出典:三菱UFJフィナンシャル・グループ
電力の使用に伴うScope 2の排出量の多くは、賃貸ビルにテナントで入居している店舗によるものだ。テナントの場合には電力の契約を変更することがむずかしい。対策としては、自然エネルギー由来の環境価値(二酸化炭素を排出しないなどの価値)を購入して電力と組み合わせる方法がある。三菱UFJ銀行は新設の発電設備から環境価値を長期契約で購入するバーチャルPPA(電力購入契約)を採用した(図2)。北海道の太平洋沿岸部の放牧地に太陽光発電所を建設する計画が進んでいる。放牧地の面積の1割程度に太陽光パネルを設置して、約350頭の羊を放牧する。羊は直射日光に弱いが、太陽光パネルの下に入れば日光や雨を避けることができる。動物と共生するプロジェクトでもある。これに続いて銀行の店舗や事業所が多い中部エリアでも、陸上風力発電所を対象にバーチャルPPAを締結した。
図2 放牧地の太陽光発電所を対象にしたバーチャルPPA
三菱UFJフィナンシャル・グループは産業の発展を支援する役割も担う。自社の排出削減を進めるだけではなく、取引先の企業と共同で新しい技術を活用した自然エネルギーの拡大に取り組んでいる。フィルム型のペロブスカイト太陽電池や建材一体型の太陽光発電ガラスを銀行の店舗や事業所に設置して実証を開始した(図3)。さらに今後の発展が期待できるデータセンターを自然エネルギーの発電設備や蓄電池と合わせて洋上に展開するプロジェクトに着手した。自然エネルギーを作る企業と使う企業の双方を増やしながら、気候変動の抑制に貢献するとともに、資金の提供などを通じて新たな産業の開拓に挑む(詳しい内容はレポートで解説)。
図3 建材一体型の太陽光発電ガラスの実証プロジェクト





