先進企業の自然エネルギー利用計画(第32回)LINEヤフー、2030年度に自然エネルギー100%へバーチャルPPAでリスク分散

石田 雅也 自然エネルギー財団 研究局長

2026年1月20日



[レポートの概要]

 ソーシャル・ネットワーキング・サービスの「LINE」やポータルサイトの「Yahoo! JAPAN」、決済サービスの「PayPay」など、インターネットを通じて各種のサービスを展開するLINEヤフーは、グループ全体の事業で使用する電力を2030年度までに自然エネルギー100%に切り替える計画だ。年間の電力使用量は5億kWh(キロワット時)を超える規模だが、2024年度の時点で90%近くを自然エネルギーで調達した。LINEヤフー本体は2025年度中に100%へ、商品販売の「ASKUL」や「ZOZO」を含む主要なグループ会社も2030年度までに100%を達成する(図1)。

 

図1 LINEヤフーグループのカーボンニュートラル(自然エネルギー100%)に向けたロードマップ

出典:LINEヤフー

 LINEヤフーは国際イニシアティブの「RE100」に2022年に加盟した。自然エネルギーの電力を調達する基準もRE100の技術要件に合わせる。RE100では水力発電とバイオマス発電に対して持続可能性の確認を求めているが、日本国内では持続可能性を確認することがむずかしいため、太陽光発電の電力を中心に調達する。さらに新設の発電設備を追加して気候変動の抑制に貢献できる「追加性」に加えて、環境負荷と地域共生を条件に購入先の発電所を選択している。

 調達方法では現在のところ非化石証書の購入量が多い。しかし今後は証書の価格上昇が想定されるほか、需給がひっ迫して十分な量を購入できない可能性がある。一方では電気料金が高くなって、今後どのように価格が変動するかを予測することもむずかしい。LINEヤフーではAI(人工知能)を活用したサービスを拡大していく計画で、電力の需要は増加する見通しだ。さまざまな不確実性がある中で、自然エネルギー100%を達成して、その後も継続していくためには、非化石証書や小売電気事業者を通じた電力の購入に依存している状況を変えていく必要がある。解決策として、特定の発電所から追加性のある自然エネルギーの電力を長期に購入できるコーポレートPPA(電力購入契約)を拡大していく(図2)。

図2 自然エネルギー(再エネ)の電力調達に伴う不確実性、LINEヤフーの調達ポートフォリオのイメージ

PPA:Power Purchase Agreement(電力購入契約)
出典:LINEヤフー

 LINEヤフーは2025年1月に初めてコーポレートPPA(バーチャルPPA)を結んだ。岡山県にあるゴルフ場の跡地に、72MW(メガワット=1000キロワット)の大規模な太陽光発電所を新設して、発電した電力の環境価値(CO2=二酸化炭素を排出しないなどの価値)を20年間にわたって購入する(図3)。年間の発電電力量は8500万kWhを想定している。LINEヤフーが2024年度にグループ全体で使用した電力量の15%に相当する。発電所を建設・運転するヴィーナ・エナジーは、立地自治体の真庭市と環境保全協定を結んで自然環境保護を約束した。LINEヤフーが重視する環境負荷と地域共生の要件を満たす(詳しい内容はレポートで解説)。

図3 LINEヤフーが締結したバーチャルPPAの契約形態

出典:LINEヤフー

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

当サイトではCookieを使用しています。当サイトを利用することにより、ご利用者はCookieの使用に同意することになります。

同意する