公益財団法人 自然エネルギー財団は本日、「エネルギー安全保障の現実:自然エネルギーが危機を克服する」を公表しました。
2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻したことにより、エネルギー安全保障に関する懸念が世界中に広がりました。本レポートではエネルギーの供給面を中心に、エネルギー危機と気候危機に直面している欧州と日本に焦点を当てました。
欧州と日本は化石燃料とウランの輸入に依存していて、経済的にも地政学的にも持続可能な状態ではありません。海外からの燃料価格の変動や供給の混乱に対して脆弱です。一方で国内に豊富にある自然エネルギーの資源を生かした電力はコスト競争力が高まってきました。フランス、ドイツ、英国、そして日本の新たな電力供給計画を見ると、いずれも自然エネルギーの電力が重要な役割を果たします。ただし、それぞれの国の戦略には違いがあります。ドイツは自然エネルギー100%を選択しましたが、フランスと英国は原子力と2本立て、日本はCCS(二酸化炭素回収・貯留)にも大きな期待をかけています。
自然エネルギーの電力を基盤としたエネルギー安全保障を目指すにあたって、2つの大きな課題があります。1つは太陽光や風力などの出力変動に対応できるように電力システムの柔軟性を向上させること、もう1つはクリーンエネルギーを利用するうえで欠かせない希少鉱物や関連技術の製造能力が特定の国に偏在している問題です。それぞれの課題に対する解決策も提示しました。
<目次>
はじめに
第1章:化石燃料の輸入に依存する欧州と日本の脆弱性
1-1.世界の化石燃料の供給状況
1-2.アフリカ、中東、ロシアに依存する化石燃料の輸入
第2章:エネルギー安全保障を自然エネルギーで強化
2-1.自然エネルギーによる安全保障と脱炭素の推進
2-2.欧州の主要3カ国と日本の電力供給計画
第3章:安全保障に関する自然エネルギーの課題と解決策
3-1.電力システムの柔軟性を向上
3-2.希少鉱物と製造能力の対応策
おわりに