太陽光・風力+蓄電池は、なぜ世界のエネルギー供給で優位に立つのか

トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団 理事長

2025年6月25日

in English

(英語の原文は、2025年6月13日公表)

風力発電、太陽光発電、蓄電池はいずれも運転コストが低く、いったん稼働すれば、電力価格がゼロに近くても発電を続けることができる。これまでは投資コストが成長の障壁だった。しかし、投資の障壁は減少している。過去15年間で投資コストは、風力発電で50%、太陽光発電で80%、蓄電池では90%削減された。

現在、世界で最も安価な電力は太陽光発電風力発電によるものであり、最も安価なバッテリーの設置は、どんな火力発電所も凌駕するほど安価である。太陽光発電や風力発電は、新設の火力発電所よりも安い電力を供給しているだけでなく、既存の火力発電所と競合し始めている。その結果、既存の発電所の所有者は、時には合法的に、時には非合法的に、資産を守るために補助金を必要としている。

しかし、このような補助金が永遠に続くことはない。太陽光、風力、バッテリーがその座を奪うだろう。破壊的なイノベーションを専門とするシンクタンクRethinkXは、そのような未来のシステムを「Stellar Energy(恒星エネルギー)」と呼ぶ報告書を発表し、エネルギーがとてつもなく豊富になる時代を迎えると主張している。

多くの人が逆のことを信じているが、RethinkXの報告書は、このようなシステムは世界のほとんどすべての国で経済的に最良のシステムになると示している。

限界費用がゼロに近くなるため、電力網はインターネットと同じようになり、利用条件と一定の月額料金以外には、電気代が無料になるだろう。1年のうちで極端な時間帯を管理するシステムを構築する必要があるが、それ以外の時間帯は電力は余剰となる。

今日、この豊富な電力は、電力会社によって、出力抑制と呼ばれる自然エネルギー発電の停止によって解決される問題として説明されている。RethinkXは、その代わりに無料で利用できる豊富な電力を使うべきだと提案している。AIセンターの運営、食料の生産、廃棄物のリサイクル、大気中のCO2の回収などにだ。

RethinkXは可能性や機会を説明することには長けている一方で、それをどう実現するかについてはあまり具体的でない。しかし、ブロードバンドインターネットの発展に類推するビジネスは、ヨナス・ビルガーソンのビジョンでもある。彼のユニコーン企業は、大容量のインターネットを月々わずかな固定料金で家庭に導入した。そして今、同じことを電力でも始めている。低コストの太陽光発電、風力発電、蓄電池に加え、自動車産業が開発した低コストのパワーエレクトロニクスを利用して、自動車と送電網の間の電力交換を管理しようとしている。

彼のエネルギー共同体構築のコンセプトは、従来の交流システムの安定性の問題も解決するだろう。家庭、産業界、送電網の他のアクター間の相互作用はプロトコルに従うことになり、電力フローの条件を電子的に取り決めなければ電力は送られない。

電圧の低いところに無秩序に電子が流れるのではなく、彼の描く送電網では電子は指示されたところに流れる。高圧交流に関連して、グリッド・パワー・エレクトロニクスは、家庭用の蓄電池ユニットからも無効電力と周波数安定化を供給することができる。

単なる空想ではない。そのようなエネルギー共同体の第1号が4月26日にスウェーデンのルンドでオープンし 、成功を収めている。

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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