沖合海域における洋上風力発電導入に向けた海域選定プロセスと政策の提言

2026年2月13日

公益財団法人 自然エネルギー財団はこのたび、「沖合海域における洋上風力発電導入に向けた海域選定プロセスと政策の提言」を公表しました。 

洋上風力発電は、エネルギー安全保障と脱炭素の両立を実現するうえで、日本にとって極めて重要な電源です。政府は2030年・2040年に向けた導入目標を掲げ、2025年6月には再エネ海域利用法が改正され、洋上風力の開発エリアが排他的経済水域(EEZ)へ拡大されました。特に、これからは着床式洋上風力発電だけでなく、浮体式洋上風力発電の本格展開も期待されています。一方で、これまで案件形成が進んできたのは、共同漁業権を中心とする関係漁業者の範囲を比較的特定しやすい沿岸海域が中心であり、共同漁業権が設定されていない領海や排他的経済水域(EEZ)といった沖合海域においても、今後さらに案件形成を進めていく必要があります。 

しかし、沖合海域では広域に操業する許可漁業や自由漁業が重層的に存在するほか、航路、防衛、環境保全など多分野にわたる調整が必要となります。法制度は整いつつあるものの、具体的な海域選定手続きや、多主体が参画できる調整プロセスはいまだ確立されておらず、このままでは政府目標の達成が困難となるおそれがあります。 

本提言書では、こうした課題を踏まえ、沖合海域における洋上風力発電の導入を持続的に進めるため、海域選定プロセスをデータに基づく透明性の高い制度として再構築することを提案しています。国主導によるデータ統合と二段階の海域選定プロセスを軸に、自治体、漁業者、事業者が段階的に参画できる仕組みを整備することで、不確実性を抑制し、予見性の高い案件形成を可能にします。 

また、本提言は制度設計にとどまらず、調整を支える体制や安全確保の指針、広域的な影響把握とリスク補完、地域主体の判断を支える仕組みなど、制度運用を下支えする政策の方向性も示しています。これらを通じて、関係者が十分な情報と時間を持ち、洋上風力発電のある将来像を主体的に考え、選択できる環境を整えることを目指します。 

洋上風力発電を単なるエネルギー開発にとどめず、海域利用全体を整理する公共的プロジェクトとして位置づけ、漁業や地域社会と調和しながら着実に拡大していく。本提言書が、そのための制度形成と協働の議論を深める一助となることを期待します。


<目次>
はじめに
提言一覧
第1部:沖合海域における洋上風力の促進に向けた海域選定プロセス
 提言1:内閣府総合海洋政策本部による推進体制の整備
 提言2:二段階海域選定プロセスの確立
  (1) 領海・EEZに共通する検討海域の抽出プロセスの導入(海域選定プロセスの第1段階)
  (2) 検討海域から促進区域へつなぐ地域調整プロセス(領海における海域選定プロセスの第2段階)
  (3) 検討海域から募集区域へつなぐ海域選定プロセス(EEZにおける海域選定プロセスの第2段階)
  (4) 利害関係者の早期参画の制度化・明確化
 提言3:海域選定を支えるデータ統合と情報基盤の強化
  (1) 水産データ基盤の拡充と「海しる」の高度化による海域選定への対応
  (2) 漁場活用実態調査の制度化・高度化と全国的な実施
  (3) 漁業データガバナンスガイドラインの策定
  (4) 広域漁業影響モニタリング体制の構築と国主導の調査機能強化
  (5) 広域漁業水産基金の創設
第2部:洋上風力発電の円滑な導入に向けた横断的な調整制度と支援
 提言4:洋上風力発電の円滑な導入を支える体制とルールの強化
  (1) 漁業共生コーディネーション体制の構築
  (2) 海域利用に関する安全ガイドラインの策定
  (3) 洋上風力発電が有する多様な価値の評価・促進
 提言5:領海における洋上風力発電を支える地域合意形成基盤の強化
  (1) 地域共生基金の方針の策定
  (2) 勉強会・検討会支援制度の創設
  (3) 電源立地交付金制度の洋上風力発電への適用
おわりに




 

外部リンク

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  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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