公益財団法人 自然エネルギー財団は本日、「地域に歓迎される太陽光発電:トラブルを抑制して地域経済に貢献」を発行しました。
太陽光発電は従来の大規模なメガソーラー中心の開発から、建物を利用した屋根設置型、農地に設置する営農型、遊休地を活用した地上設置型など、小規模で分散型の導入が中心になりつつあります。自治体、地域の企業や金融機関、大学や市民が連携して、小規模分散型の太陽光発電を導入することで、そこから生まれる恩恵を地域内で共有する事例が増えてきました。
一方で太陽光発電が地域でトラブルになる事例も依然としてあります。このため多くの自治体が条例によって規制を設けることで、太陽光発電に関連するトラブルを抑制しようとしています。しかし規制だけが広がっていくと、地域の重要なエネルギー源である太陽光発電の導入に歯止めをかけることになり、脱炭素化による経済の活性化や産業の振興を阻害してしまう恐れがあります。
トラブルを回避しながら太陽光発電の普及にはずみをつけるためには、太陽光発電が地域社会・経済に恩恵をもたらすものとして受け入れられる必要があります。国や自治体は規制だけではなく、促進策を充実させることが求められます。
本レポートでは、太陽光発電が地域から歓迎されるための要件を、(1)関係者の合意と信頼構築、(2)バランスの取れた促進と規制、(3)地域への貢献、の3点にまとめました。これらの要件に沿って、事業者や自治体が太陽光発電の導入を促進している地域の事例を紹介していきます。
<目次>
はじめに
第1章 丁寧な合意形成で住民の理解を醸成
第2章 トラブルを抑制するための自治体の施策
1. 規制条例の増加と再エネ新税の創設
2. 開発適地への誘導に必要な促進区域制度
3. 促進区域を設定した先行事例
第3章 地域循環経済の起点になる太陽光発電
1. 利益の一部を活用して住民や自治体を支援
2. 電力と利益を地域内で循環
おわりに