2021年8月、公益財団法人 自然エネルギー財団は設立10周年を迎えました。2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を受けて誕生した財団がめざすのは、人々が安心・安全に、豊かに暮らせる自然エネルギーを基盤とする社会の構築です。設立からの10年、私たちはこの目標の実現のために、調査研究にもとづく政策とビジネスモデルの提言、また幅広い企業・自治体、専門家のネットワークづくりに取り組んできました。
この10年、世界では、自然エネルギーの劇的なコスト低下を背景に、太陽光発電・風力発電の設備容量が2010年末の239GWから2020年末の1503GWへと6倍以上に増加するなど、急速なエネルギー転換が進みました。
日本では、原子力発電と石炭火力に固執する国の政策のために、世界より転換が遅れましたが、それでも自然エネルギーの拡大は進んでいます。国が定めた2030年度の自然エネルギー電力目標22-24%は、ほぼ10年前倒しで達成され、太陽光発電コストは、日本でもまもなく最も安価な電源になると見込まれています。
自然エネルギー財団は、こうした日本の自然エネルギー拡大を牽引する先導的な役割を果たしています。日本における太陽光発電、風力発電の高コスト構造の解明と低廉化のための改革、自然エネルギー電源を送電網に優先的に接続するコネクト&マネージ、大量の自然エネルギー送電を可能とする直流高圧送電網の構築など、財団の幾多の提案は国の政策を実際に動かしてきました。
同時に、「高効率」と称する石炭火力発電の新設が気候変動対策に逆行し、ビジネスとしてもリスクが高いことを明らかにし、いくつかのプロジェクトの中止と政策変更をもたらしました。
昨年来のエネルギー基本計画改正をめぐる議論では、2030年に自然エネルギーによる45%の電力供給が可能であることを実証的に明らかし、多くの企業・自治体の40~50%目標提案に理論的な根拠を提供しました。また、脱炭素化への自然エネルギー100%シナリオを公表し、2050年の自然エネルギー目標を低く抑えようとする試みに楔を打ち込みました。
更に、財団は、気候変動問題に関する日本最大の非政府アクターのネットワーク「気候変動イニシアティブ」の事務局の一角を担い、道府県、政令指定都市が構成する二つの自然エネルギー協議会との連携を進めるなど、多くの企業・自治体と共に、エネルギー転換に取り組んでいます。自然エネルギーユーザー企業ネットワーク(RE-Users)の活動は、RE100など企業の自然エネルギー調達を促進する実践的なノウハウを提供しています。
8月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書は、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断じました。壊滅的な気候危機を回避するため、日本と世界のエネルギー転換の速度をもっともっと加速しなければなりません。しかし、日本では、脱炭素化を原子力発電の延命や新増設の口実にしようとする動きや、実現の目途が全くたたないCCSを石炭火力発電の利用継続の根拠にしようとする動きが根強く続いています。
自然エネルギー財団は、石炭火力と原子力発電をフェーズアウトする2030年までのエネルギー転換を実現し、自然エネルギー100%による脱炭素社会への展望を明確に提起する日本で唯一のエネルギー政策機関としての役割を果たしていきます。また、これらの政策提言をもとに、気候変動対策の強化とエネルギー転換を求める多くの企業、自治体、NGOの皆さんとの連携・共同に取り組んでいきます。
次の10年間にむけた多くの皆さんのご支援をお願いいたします。
この10年、世界では、自然エネルギーの劇的なコスト低下を背景に、太陽光発電・風力発電の設備容量が2010年末の239GWから2020年末の1503GWへと6倍以上に増加するなど、急速なエネルギー転換が進みました。
日本では、原子力発電と石炭火力に固執する国の政策のために、世界より転換が遅れましたが、それでも自然エネルギーの拡大は進んでいます。国が定めた2030年度の自然エネルギー電力目標22-24%は、ほぼ10年前倒しで達成され、太陽光発電コストは、日本でもまもなく最も安価な電源になると見込まれています。
自然エネルギー財団は、こうした日本の自然エネルギー拡大を牽引する先導的な役割を果たしています。日本における太陽光発電、風力発電の高コスト構造の解明と低廉化のための改革、自然エネルギー電源を送電網に優先的に接続するコネクト&マネージ、大量の自然エネルギー送電を可能とする直流高圧送電網の構築など、財団の幾多の提案は国の政策を実際に動かしてきました。
同時に、「高効率」と称する石炭火力発電の新設が気候変動対策に逆行し、ビジネスとしてもリスクが高いことを明らかにし、いくつかのプロジェクトの中止と政策変更をもたらしました。
昨年来のエネルギー基本計画改正をめぐる議論では、2030年に自然エネルギーによる45%の電力供給が可能であることを実証的に明らかし、多くの企業・自治体の40~50%目標提案に理論的な根拠を提供しました。また、脱炭素化への自然エネルギー100%シナリオを公表し、2050年の自然エネルギー目標を低く抑えようとする試みに楔を打ち込みました。
更に、財団は、気候変動問題に関する日本最大の非政府アクターのネットワーク「気候変動イニシアティブ」の事務局の一角を担い、道府県、政令指定都市が構成する二つの自然エネルギー協議会との連携を進めるなど、多くの企業・自治体と共に、エネルギー転換に取り組んでいます。自然エネルギーユーザー企業ネットワーク(RE-Users)の活動は、RE100など企業の自然エネルギー調達を促進する実践的なノウハウを提供しています。
8月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次報告書は、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」と断じました。壊滅的な気候危機を回避するため、日本と世界のエネルギー転換の速度をもっともっと加速しなければなりません。しかし、日本では、脱炭素化を原子力発電の延命や新増設の口実にしようとする動きや、実現の目途が全くたたないCCSを石炭火力発電の利用継続の根拠にしようとする動きが根強く続いています。
自然エネルギー財団は、石炭火力と原子力発電をフェーズアウトする2030年までのエネルギー転換を実現し、自然エネルギー100%による脱炭素社会への展望を明確に提起する日本で唯一のエネルギー政策機関としての役割を果たしていきます。また、これらの政策提言をもとに、気候変動対策の強化とエネルギー転換を求める多くの企業、自治体、NGOの皆さんとの連携・共同に取り組んでいきます。
次の10年間にむけた多くの皆さんのご支援をお願いいたします。