コメントバイデン候補の勝利について脱炭素社会の実現へ、日本のエネルギー転換の加速を

2020年11月9日


公益財団法人 自然エネルギー財団は、2020年アメリカ合衆国大統領選挙による新政権の発足に向けて、コメントを公表します。

バイデン候補の勝利について
脱炭素社会の実現へ、日本のエネルギー転換の加速を

 米国大統領選挙で、民主党の候補 ジョー・バイデン前副大統領が勝利をおさめた。深刻な気候危機の回避をめざす世界の努力に背を向けてパリ協定から離脱したトランプ政権は退場し、来年1月には、気候変動対策を主要な政策課題として明確に位置づけるバイデン政権が誕生する。

 米国の気候変動対策は劇的に転換することになる。バイデン次期大統領は、公約として、2035年までに電力部門からの二酸化炭素排出をゼロにすること、遅くとも2050年までにクリーンなエネルギー経済を達成し、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを宣言している。また小型・中型自動車の100%電動化を掲げ、エネルギー効率化を促進し、2035年まで建築物の二酸化炭素排出量を半減するなど、経済全体をカバーする脱炭素化への戦略を示している。

 米国では、トランプ政権下においても、アメリカズプレッジやWe Are Still Inに参加する多くの州政府や企業、NGOなどが積極的な気候変動対策を提唱し、実施してきた。バイデン候補の公約はこれらの先駆的取り組みを反映したものと言える。

 米国の気候変動対策は、世界の取組を牽引してきた欧州の政策に近づき、排出ゼロに向けた世界のエネルギー転換の流れは、より急速で強力なものになる。バイデン次期大統領は、大統領就任当日にパリ協定に復帰することを明言するとともに、就任後100日以内に「気候サミット」を開催し、「世界の主要な炭素排出国の指導者に直接働きかけ、これまでの約束を超える、より野心的な国際公約を掲げるよう説得する」としている。

 そして、注目する必要があるのは、「気候と環境の義務を果たせていない国からの炭素集約的な製品に、炭素調整賦課金」などを課すとしていることだ。これは欧州連合が導入を進める国境炭素税と同様の狙いを持つものと見られる。

 2050年脱炭素社会の実現を宣言した日本も、エネルギー政策の転換を加速する必要がある。既に国内でも、多くの企業や自治体のグループが2030年の自然エネルギー電力目標を40%~50%に高めることを提言している。自然エネルギー財団の研究は、こうしたレベルの目標が実現可能であることを実証している。

 自然エネルギー財団は、自然エネルギーとエネルギー効率化を中心として、2030年までにエネルギー転換を軌道にのせ、2050年までの脱炭素化を実現する確かな道筋を明らかにしていく。また、気候変動イニシアティブ、RE-Users、自然エネルギー協議会などに参加する多くの企業、自治体、非政府アクターとの連携を強め、気候危機回避に向けた挑戦に貢献していく。
 

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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