コメントエネルギー基本計画の見直し開始にあたって

2020年10月13日

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公益財団法人 自然エネルギー財団は、本日、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会において、エネルギー基本計画の見直しに向けた検討が開始されることに関し、コメントを公表しました。

エネルギー基本計画の見直し開始にあたって

 来年3月には東京電力福島第一原子力発電所事故から10年の節目を迎え、11月には気候変動対策の強化をめざすCOP26が開催される。現在のエネルギー基本計画は、原子力発電にも、そして最終的には、化石燃料にも依存する必要のない、自然エネルギーを基盤とする日本への道筋を示すものへと見直される必要がある。
 
 本日開催の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に、経済産業省が提出した資料「エネルギー基本計画の見直しに向けて」は、脱炭素社会をめざしてエネルギー転換が進む欧州、中国、そして米国の動向、世界の企業、金融機関の取組みを詳しく紹介しており、世界の変化にキャッチアップしようという意向もうかがえる。
 
 しかし、「改めて3E+Sのあり方を再整理する必要」に言及しながら、海外からの化石燃料資源の確保を安定供給の議論の中心におき、原子力発電に関しては狭義の安全性向上の議論だけに終始するなど、化石燃料と原子力を中核に据えた従来のエネルギー基本計画を根本的に転換する方向を示すには至っていない。
 
 世界的には、自然エネルギーを安価に大量に供給できる時代が現実のものとなりつつあり、電力のみならず、自然エネルギーから製造される水素などにより、産業・運輸部門のエネルギー需要も満たすことができる展望が切り開かれている。他方、気候危機の深化の中で、化石燃料資源は保有していても、使うことのできない時代が、もう目の前に迫っている。
 
 エネルギー効率化に加え、自然エネルギーをエネルギー供給の中心に据えることによってこそ、国際情勢の変動、化石燃料価格の乱高下にも左右されないエネルギーの安定供給が実現できる。また年間10数兆円もの化石燃料輸入を軽減することが可能になる。更に、大規模集中型の原子力発電や石炭火力発電から分散型の自然エネルギー電源に移行すること、各地域の豊富な自然エネルギー資源を全国規模で活用できる電力系統の整備と運用改善により、災害にも強いレジリエントな電力供給体制を実現することができる。
 
 自然エネルギー財団が、本年8月の提案で示したように、適切な政策的対応を行えば、2030年に45%の電力を自然エネルギーで供給することが可能である。2030年の自然エネルギー目標を40~45%以上に引き上げるべきという提案は、日本の企業、自治体に急速に広がっている。
 
 今回のエネルギー基本計画の見直しにより、2050年までの脱炭素社会の実現を視野に、原子力発電にも石炭火力発電にも依存しない自然エネルギーを中心とする2030年のエネルギーミックスの姿が明確に示されることを期待している。

<関連リンク>
[提言]  2030年エネルギーミックスへの提案(第1版):自然エネルギーを基盤とする日本へ  (2020年8月6日)

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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