公益財団法人 自然エネルギー財団は本日、報告書「世界中の企業が自然エネルギーへ:先進事例に見る、導入効果・調達方法・課題解決」を公表いたしました。
気候変動の抑制に向けて、世界中の企業が自然エネルギーの利用拡大に取り組んでいます。そうした動きを象徴するのが、企業が事業活動で使用する電力を自然エネルギー100%で調達することを目指す国際イニシアティブの「RE100」です。日本を含む世界各国の企業が加盟して、遅くとも2050年までに自然エネルギーの電力を100%使用する目標を掲げています。さらにRE100に加盟していない企業でも、工場やオフィスなどで使用する電力を自然エネルギーに切り替える事例が増えてきました。
自然エネルギー財団では2018年4月に「自然エネルギーユーザー企業ネットワーク」(略称:RE-Users)を立ち上げ、企業が自然エネルギーの電力を効率的に調達するための情報を提供しています。その活動の一環で、自然エネルギーの利用に先進的に取り組む企業のケーススタディをシリーズで掲載してきました。RE100に加盟する国内・海外の企業を中心に、加盟していない大手の企業の事例も取り上げています。このほかに毎月配信しているニュースレターで、企業と市場の最新動向を伝えています。
本報告書は過去に掲載したケーススタディの内容をもとに、ニュースレターで配信した情報も加えながら、先進的な企業の事例を集約したものです。多くの企業が自然エネルギーの利用拡大に取り組むようになった事業環境の変化を見たうえで、IT・エレクトロニクス、消費財・サービス、建設・不動産、自動車の4つの産業分野に焦点を当てて、主要な企業の動向をまとめました。自然エネルギーの電力を調達する方法や重視する要件を整理するとともに、収益の向上や取引の拡大など事業面の効果にも着目しました。さらに国内と海外それぞれの課題を洗い出し、法制度や電力市場の問題点を指摘しました。
世界中の企業が自然エネルギーへ
先進事例に見る、導入効果・調達方法・課題解決
<目次>
第1章 事業環境の変化:高まる自然エネルギーの重要性
・気候変動に向けた企業の国際的な取り組み
・増加する電力コストとCO2排出量の抑制へ
・世界中の投資家が気候変動対策を重視
第2章 先進企業の動向:米国から欧州、日本にも波及
・電力使用量が急増するIT・エレクトロニクス産業
・サステナビリティが求められる消費財・サービス産業
・事業との相乗効果が大きい建設・不動産業
・ゼロエミッションへ大転換期を迎える自動車産業
第3章 電力の調達方法:環境負荷と追加性を重視
・太陽光・風力発電の電力を自家消費
・自然エネルギー100%の電力を購入
・発電事業に投資して電力を調達
・自然エネルギー由来の証書を購入
・自然エネルギーの電力に求められる要件
第4章 事業面の効果:ビジネスに直結する時代に
・省エネを推進して収益を高める
・自然エネルギーの導入で取引を拡大
第5章 普及に向けた課題:複雑な法制度、未成熟な市場
・自然エネルギーの認証システムを整備
・送配電ネットワークの運用を効率的に
・電力事業の規制が国・地域ごとに残る
・電力購入契約(PPA)にはノウハウが必要
<関連リンク>
先進企業の自然エネルギー利用計画(ケーススタディ)
自然エネルギーユーザー企業ネットワーク(RE-Users)