自然エネルギー財団プレスリリース
「エネルギー基本計画」についての声明 2014年4月11日

1 原発と石炭火力への固執


政府は、本日、「エネルギー基本計画」を閣議決定した。今回の「エネルギー基本計画」の改定に、本来、求められたのは、福島原発事故後の国民多数の意思に即し、原子力発電から脱却する大方針を決定することであり、気候変動の危機の深化を直視し、化石燃料への依存を大幅に減らす社会へと転換する方針を示すことであった。

しかし、政府が決定した基本計画は、原発と石炭火力をともに「重要なベースロード電源」に位置づけたことに端的に示されているように、こうした役割を放棄しており、旧来のエネルギー政策からの転換を進めるものになっていない。


2 あまりに消極的な自然エネルギー目標


最終段階で基本計画に追加された自然エネルギー目標は、「これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準を更に上回る水準の導入を目指」す、というあいまいな表現である。「2020年に13.5%」「2030年に約2割」という過去の目標値が参考として脚注に記されており、これを上回ることを意味するとされている。

固定価格買取制度の開始以来、これまでに700万kW以上の自然エネルギー発電設備が導入されており、その発電量を含めれば、既に自然エネルギーの割合は、12.7%程度と推計される。こうした状況を踏まえれば、2020年に「13.5%を上回る」という目標は、先導的な目標とはとても評価できない。

気候変動の危機に立ち向かうため、とりわけ先進国には大幅な温室効果ガスの排出削減が求められており、欧米では2030年に向けた積極的な自然エネルギー導入目標が設けられるようになってきている。欧州委員会は2030年におけるエネルギー消費に占める自然エネルギーの割合を、最低27%にするという目標を掲げており、電力について言えば、最低45%を目指すものとなっている。米国では、カリフォルニア州が2020年目標を20%から33%に引き上げたが、2030年に向けてこれを50%程度まで高める検討が始まっている。

日本における最近の導入加速化の状況や欧米の動向に比べ、基本計画が定めた自然エネルギーの導入目標は、あまりに消極的と言わざるを得ない。


3 エネルギー転換で日本再生を


福島原発事故の悲惨な体験を経て、日本では、エネルギーの効率化と自然エネルギーの導入が加速してきている。「エネルギー基本計画」が原発に依存しない社会の実現を明確に掲げ、エネルギー政策転換の方針を掲げれば、多くの地域、企業で始まっている取組を更に進め、危険な原発にも、高価で不安定な化石燃料にも依存しない日本の実現を早めることができた。

旧来の政策に固執した「エネルギー基本計画」は、その機会を損なってしまったが、エネルギー転換の歩みを止めることはできない。自然エネルギー財団は、安全で持続可能なエネルギーシステムの実現を願う多くの人々、企業、団体とともに、日本再生に向けた新たな戦略をつくりあげる取り組みを進めていく。

資料 「エネルギー基本計画」についての声明 (0.2MB)

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