新たなエネルギー基本計画の策定、そして新たな日本の温室効果ガス削減目標(NDC)の決定に向けた議論が始まっています。自然エネルギー財団では、基本政策分科会で議論される論点に関するデータや事例を紹介し、必要な問題提起を行うコラムシリーズ「エネルギー基本計画の論点」をこの7月に開始し、連続的に掲載しています。このたび、第1回から第8回までのコラムを第一集としてまとめました。本ページではこの中で挙げられている主な論点をご紹介します。
AIの普及は電力需給に影響を及ぼさない。
インターネット利用率が2倍になっても電力消費量は5%しか増えなかった。半導体の能力向上、AIによる業務効率化により電力需要に大きな影響はない。
AIの普及は電力需給に影響を及ぼさない、自然エネルギー100%を実現できる期待も
2013年度からの日本の温室効果ガス削減の半分は、計算上のマジックと原発事故後の特別の理由によるもの。目標達成へ「オントラック」ではなく対策強化が必要。
基準年の2013年度は国内全原発が停止し排出量が急増した年。再稼働が一部進み増加分が部分的に解消した。また、基準年だけ森林吸収量を入れないという削減量の底上げマジックを使っている。
日本の排出削減は「オントラック」なのか
続・日本の排出削減は「オントラック」なのか
ドイツのエネルギー転換への批判は過剰で不正確。ドイツの産業用電気料金はEU平均と大きな開きはない。電力輸入の多くは自然エネルギー。
ドイツの電力消費に占める自然エネルギーの割合は2024年上半期で57%。2030年80%目標を達成し、コストの高い化石燃料への依存を引き下げ現在の問題を克服できる。
石炭アンモニア発電は、50%混焼でも従来の石炭火力の約7割の排出が残り、100%専焼でも約4割の排出が残る。
RE100では、グリーンであっても化石燃料の延命につながる混焼発電については制限していくという厳しい条件が議論されている。年内に改定される予定だ。
日本の「ゼロエミッション火力」からの排出を考える: 提示された水素・アンモニア低炭素基準では「対策済み」石炭火力にならず
原子力発電は2050年に世界でも日本でも、必要な電力のせいぜい1割しか供給できない。残りの9割を供給する自然エネルギーの拡大の議論が大切だ。
COP28の期間中に日本を含む22カ国が発表した「2050年までに2020年比で世界全体の原子力発電容量を3倍にする」という目標が実現しても、2050年の総発電量の10.6%。日本では1割も難しい。
もっと自然エネルギーの話をしよう:原子力は電力の1割しか供給できないのだから
GXの原発新増設は現実的なのか?
健全な政策形成の大前提は、正確なデータや客観的な論拠に基づき、合理的に議論を行うことだ。原発が不可欠だと主張するのなら、経済合理性を客観的に示すことが求められる。