日本における洋上風力拡大加速に向けた提言公正で透明な競争環境作りのために

2022年6月15日

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公益財団法人 自然エネルギー財団は、本日、「日本における洋上風力拡大加速に向けた提言」を公表しました。

今、世界各国のエネルギー政策が、改めて自然エネルギー導入に大きく梶を切る中で、もっとも注目されている自然エネルギーは洋上風力であるといって良いでしょう。

日本でも、2021年に1.7GW近くの事業者選定が行われ、本格的導入が始まりつつあります。しかし、一方で、すでに募集していた入札を延期するなど、制度の見直しも同時に進められている状況です。洋上風力産業を基礎から作り上げなくてはならない日本が、世界的な市場拡大の流れに乗るには、多様な国内外のプレーヤーが活躍できる市場の条件整備が一刻も早く必要です。

この提言書は、黎明期にある日本の洋上風力産業を加速するために必要な、公正な競争と安定的で透明な事業環境作りを念頭に、今求められる施策をとりまとめたものです。提言のとりまとめにあたっては、さまざまな立場の洋上風力開発事業者との意見交換が基本となっています。


<目次>
はじめに
提言一覧
Ⅰ. 国が主導する洋上風力開発:国際的に遜色のない「セントラル方式」の導入を
Ⅱ. 公正な競争と安定した事業が可能な環境作り:事業者選定手続の改善
Ⅲ. ロードマップの策定の必要性

提言一覧

Ⅰ.国が主導する洋上風力開発―国際的に遜色のない「セントラル方式」の導入を
 (1) 国が系統確保・地域調整・基礎情報調査を主導・実施し、その実施時期を明確化する
 (2) 基礎情報調査(風況、気象・海象、海底地盤、環境影響、漁業)を早期に実施する
 ・国による基礎情報調査を、調査の同意を得た全海域で早期に開始する
 ・基礎情報調査のデータは、事業者が追加の情報収集なく計画策定に利用可能な質を確保する
 ・基礎情報調査のデータは、無償で共有・公開する
 ・国による基礎情報調査を2023年度(2023年4月)から実施することを明確にする
 ・対象海域で事業者が先行して調査を実施していた場合には、調査結果を国に提供するなど一定の条件の下で、事業者に対し調査費用を補償する制度を導入する
 (3) 国主導で効率的かつ確実な系統形成を促す
 ・国による系統確保スキームの活用を直ちに開始する
 ・一般送配電事業者による早期の系統整備を、レベニューキャップ制度における評価項目に明確に位置づける
 ・プッシュ型による増強の一環として、陸揚げ地点近傍にハブ変電所・開閉所を設ける
 ・選定事業者が承継した系統計画の効率化を認める
 ・発電事業者が建設した陸上長距離送電線を一般送配電事業者に移管する制度を創設する
 (4) 地域・漁業との共生に向けた議論と調査を早期に開始する
 ・国は、地域・漁業との共生に関する課題を洗い出し、国と地方自治体の役割を明確化する議論を早急に開始する
 ・事業者・漁業者・国・地方自治体の取り組み方や課題解決に向けたガイドラインやガイダンスを策定する
 ・電源立地地域対策交付金の対象地域に洋上風力の立地地域を含める
 ・国は、漁業基礎調査に直ちに着手し、データを蓄積・公表する
 (5) 国のイニシアティブをさらに強化する
 ・国の役割をインフラの整備・利用の調整(系統・港湾)等にも広げる
 ・多くの省庁にまたがる手続の窓口を一本化し、かつ体制を強化する
 ・洋上風力に関する正確な情報提供を充実させる

Ⅱ.公正な競争と安定した事業が可能な環境作りー事業者選定手続の改善
 (1) 国は、事業者の計画策定に十分な基礎情報調査を行い、データを公開する
 (2) 評価結果の詳細を公表する
 (3) ラウンド2以降の入札では、運転開始時期を国が明示する
 (4) 新制度(「“日本版”セントラル方式」)では事前資格審査制度(Pre-qualification、PQ)を導入する

Ⅲ.ロードマップの策定の必要性
 (1) 2030年に10GWの運転開始など野心的な2030年目標の設定と、案件の運転開始時期を明確にしたロードマップを策定する
 (2) 官民協議会によって、国と産業界の対話・協力関係を継続し、2030年までの具体的な推進体制を構築する

外部リンク

  • JCI 気候変動イニシアティブ
  • 自然エネルギー協議会
  • 指定都市 自然エネルギー協議会
  • irelp
  • 全球能源互联网发展合作组织

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