連載コラム 自然エネルギー活用レポート

「自然エネルギー活用レポート」は全国各地に広がるプロジェクトの中から、地域が主導して事業化に取り組んだ事例を紹介します。太陽光・風力・小水力・地熱・バイオマスを対象に現地でヒアリングを実施。レポートでは事業の成功に欠かせない財務・技術面の取り組みに加えて、地域の経済や雇用に対する効果も検証します。

明治時代の水路を再生して小水力発電
―岐阜県・中津川市で地域連携のモデルに―
No.8〈概要版〉

2017年10月10日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 古くから中山道の要所として発展してきた岐阜県の中津川市は、木曽川が流れる水の豊富な地域だ。明治時代に造られた農業用水路を利用して、小水力発電所が2016年4月から運転を続けている。民間企業2社による共同事業体が農業用水路の管理組合と連携して運営する。老朽化した水路を全面的に改修して発電に利用する一方、設備の点検・清掃業務を管理組合に委託するなど地域のメリットを重視して取り組んでいる。

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富士山の麓で木質バイオマス熱利用に挑む
―静岡県・御殿場市の森林から未利用間伐材を調達―
No.7〈概要版〉

2017年9月26日 北風亮 自然エネルギー財団 上級研究員

 精密機器メーカーのリコーが静岡県・御殿場市で、地域の未利用間伐材を使ったバイオマス熱の利用に取り組んでいる。御殿場市や地域の企業とともに木質バイオマスエネルギーの地産地消モデル(御殿場モデル)を構築。市内の森林から発生する間伐材をチップに加工して、同社の開発拠点の空調や給湯の熱源として利用する。

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太陽光パネル4200枚の下で農作物を栽培
―鳥取県・北栄町でソーラーシェアリング実用化―
No.6〈概要版〉

2017年8月25日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 農地を活用して太陽光発電と農業を両立させる「ソーラーシェアリング」に注目が集まっている。鳥取県の北栄町(ほくえいちょう)にある農地では、2年前の2015年11月から大規模なソーラーシェアリングを実施中だ。農地の上部に高さ2.5メートルで4200枚の太陽光パネルを設置して、その下で農作物を栽培する。発電能力は1MW(メガワット)で、年間に約4000万円の売電収入を見込める。優良な農地を太陽光発電に利用するために厳しい条件をクリアした。

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風力発電1000基に向けて第1弾が稼働
―秋田県・男鹿市の沿岸部にある県有地に―
No.5〈概要版〉

2017年8月10日 北風亮 自然エネルギー財団 上級研究員

 秋田市から男鹿(おが)半島にかけての海岸線一帯には防風林が広がり、ほとんどが県有地となっている。県は風力発電の適地でもある県有地の公募を実施し、100%地域資本の「株式会社風の王国」を事業者として選定。地元の企業や金融機関の協力を得て、2016年11月に「風の王国・男鹿風力発電所」が運転を開始した。プロジェクトを主導したのは地域の将来を見据えた構想を描く山本久博氏である。

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地熱発電で年間6億円の収入を過疎の町に
―熊本県・小国町の住民30人が合同会社で事業化―
No.4〈概要版〉

2017年7月25日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 温泉旅館が点在する熊本県・小国町の「わいた地区」では人口の減少が続き、高齢者の比率は4割近くに達している。地域の活性化を目指して、豊富にある地熱資源を新たな収入源に変えるプロジェクトが住民主導で進んできた。住民30人で構成する合同会社が発電事業者と共同で地熱発電所を建設・運営して、年間に約6億円の収入を生み出す。地下から湧き出る高温の蒸気を利用して高効率のフラッシュ方式で発電する。温泉資源の枯渇を防ぐ対策を実施しながら、発電後の温水を使って販売単価の高い野菜の栽培にも着手した。

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水上に太陽電池パネル3700枚が浮かぶ池
―岡山県・笠岡市でフロート式の太陽光発電所―
No.3〈概要版〉

2017年6月28日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 瀬戸内海に面して雨が少ない岡山県の笠岡市には、海を埋め立てた干拓地が広がっている。その一角に、雨が降った時の水量を調整する「十一番町遊水池」がある。広さが2万6000平方メートルの池の水上に、3700枚を超える太陽電池パネルが並んでいる。大阪ガスグループのエナジーバンクジャパンが運営する水上フロート式の太陽光発電所だ。水に浮かぶ高密度ポリエチレン製のフロートの上に太陽電池パネルを設置して、年間に300世帯分の電力を供給できる。

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バイオマス発電を支える地域の木材と運転ノウハウ
―岡山県・真庭市で2万2000世帯分の電力を作る―
No.2〈概要版〉

2017年6月20日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 中国山地のほぼ真ん中に位置する岡山県の真庭市は県内最大の面積があり、そのうち8割を森林が占めている。ヒノキの産地として有名で、市内には約30社の木材加工会社が操業中だ。製材後に出る端材のほか、森林で大量に発生する間伐材の有効利用を目指して、「真庭バイオマス発電所」が2年前の2015年4月に運転を開始した。地域ぐるみで整備した木材の調達能力に加えて、木材加工会社が積み上げたバイオマス発電所の運転ノウハウを生かす。

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小水力発電の投資回収を7年で可能に
―和歌山県・有田川町の町営事業―
No.1〈概要版〉

2017年5月16日 石田雅也 自然エネルギー財団 自然エネルギービジネスグループマネージャー

 人口2万7000人の和歌山県有田川町(ありだがわちょう)では、県営のダムから放流する河川維持放流水を生かして小水力発電に取り組んでいる。2016年2月に「有田川町営二川(ふたがわ)小水力発電所」の運転を開始して、わずか7年で初期投資を回収する計画だ。総額で2億8600万円の事業費は町の資金でまかなった。年間の売電収入は約5000万円を見込み、役場の職員が発電所を運営して投資回収を早める。

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