連載コラム シリーズ
「電力システム改革の真の貫徹」を考える

シリーズ「電力システム改革の真の貫徹」を考える
第9回 欧州での自然エネルギー市場の発展
英語オリジナル

2017年1月13日 トーマス・コーベリエル 自然エネルギー財団理事長

 電力系統では、発電と消費の同時同量を保つことが必要である。これが損なわれると、電圧や周波数が安定せず、停電が起こる可能性もある。そのため、競争のある電力市場では、電力の買い手と売り手が契約を結ぶときには、系統への給電量とその消費量の同時同量を担うのはどこなのかを決めておくのが原則となっている。

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シリーズ「電力システム改革の真の貫徹」を考える
第8回 電力システム改革を真に貫徹するために:集中型から分散型へ

2016年12月26日 高橋洋 自然エネルギー財団 特任研究員

 3ヶ月程度の議論を経て2016年末に結論を出した、経済産業省の「電力システム改革貫徹のための政策」については、このシリーズで指摘されてきた通り、極めて問題が多い。
 東京電力が起こした過酷事故の費用を原発とは無関係な事業者に負担させることは、汚染者負担の原則に反する。その理屈は、積み立てが不十分だった事故費用を「過去分」として消費者から追加徴収するものであり、商取引の原則から逸脱している。託送料金に上乗せする徴収方法は、会計原則に反し不適切かつ不透明である。それは結果として消費者の選択権を侵害する。容量市場は必要性に乏しい上、火力発電などへの不適切な補助金となる。
 これらの上に筆者が本稿で指摘したいのは、上記の政策の抱き合わせが、電力システム改革の本旨に反し、貫徹どころか全く反対の方向に導くということである。

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第7回 電気のCO2排出削減政策としての非化石価値取引市場について

2016年12月16日 木村啓二 自然エネルギー財団上級研究員

 「貫徹小委 ⅰ 」では様々な市場に関わる議論がなされている。そのうちの一つ非化石価値取引市場(以下、非化石市場と呼ぶ)について取り上げる。そもそも、この議論の根元は、日本の地球温暖化対策の目標に関係している。長期エネルギー需給見通し(以下、エネルギーミックス)では、2030年度に電気からのCO2の排出係数を0.37kg/kWhに引き下げることを目指している。2015年度のCO2排出係数は0.54kg/kWh ⅱ であるので、今後約31%引き下げる必要がある。

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第6回 「新電力の負担」が誤解を招く
~本質的に公平性を欠くのはなぜか?~

2016年12月12日 安田陽 京都大学大学院経済学研究科再生可能エネルギー経済学講座特任教授

 現在、経済産業省「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(以下、貫徹委員会)でさまざまな議論が急速に進み、公平で透明な市場設計という観点から大いに疑問符が付く決定が行われようとしている。諸問題がパズルのように複雑に絡み合って錯綜を極めており、多くの国民や市場関係者に誤解や無関心が生まれている。特に原発廃炉費用の「新電力の負担」というマスコミ等の表現は誤解を生みやすく、混乱に拍車をかけている。本稿ではできるだけシンプルに、何が「本質的に公平性を欠くのか」について解説する。

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第5回 消費者の立場からみた廃炉費用と託送料問題
英語版

2016年12月12日 二村睦子 日本生活協同組合連合会組合員活動部長

 消費者団体は、長らく「公共料金」として電気料金の問題に取り組んできた。公共料金としての電気料金は値上げの際には国への認可申請が必要で、消費者委員会 ⅰ への諮問や公聴会の開催が義務付けられていた。消費者委員会には消費者代表が複数名参加し、また公聴会では当該地域の消費者団体の代表が意見を述べるなど、(十分かどうかは別にして)消費者の関与が保障されていた。

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第4回 原発会計はどこまで特殊か
英語版

2016年12月2日 金森絵里 立命館大学経営学部教授

 福島第一原発事故による賠償・除染・廃炉の費用を、電力システム改革後も原発事業者のみならず新電力にも負担させる制度づくりが進められている。負担させる方策としては、送配電会社の託送料金に含めるとする案が最も有力であり、料金制度と関係の深い財務会計に関するワーキンググループが設置されこれまでに5回の会議が開催されている。

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第3回 容量メカニズムは、今、日本に必要か
容量メカニズムをめぐる議論の整理と問題点
英語版

2016年12月2日 木村啓二 自然エネルギー財団上級研究員

 現在、市場整備ワーキンググループ(以下、WGと略記)で、容量メカニズムの導入の議論が行われており、WGの議論ではすでに制度設計の話にまで進んでいる。
 しかし、そもそも容量メカニズムとは何か、なぜ必要とされているのか、について一般にわかりやすく周知されていない。そこで、本稿では、容量メカニズムが日本の現状からいって導入すべき段階にあるのかについて論じるとともに、現在議論されている集中型容量市場について主な導入課題や導入時の論点について述べたい。

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第2回 廃炉会計制度の維持と「広く負担を求める措置」
―財務会計ワーキンググループ(WG)の議論と問題点
英語版

2016年11月28日 工藤美香 自然エネルギー財団上級研究員

 電力に関する会計は特別で複雑である。まず、電気事業は一般企業と違い、「電気事業会計規則」に従う。その中でも原発は一般の発電施設から区別され、1969年以降、特別な会計制度が数度にわたり作られてきた ⅰ 。具体的には、原発への初期投資に関する原子力発電工事償却準備引当金や、原発を廃止する際の費用に関する使用済燃料再処理引当金、原子力発電施設解体引当金、特定放射性廃棄物処分費の制度がある。この特殊な会計制度が改正を重ね複雑になり、原発の事業が一体どうなっているのか、会計上非常にわかりにくく、見えにくくなっている。

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第1回 電力システム改革をめぐる議論を検証するコラムを開始します
英語版

2016年11月21日 大林ミカ 自然エネルギー財団事業局長

 東京電力福島原発事故以降、日本では、2015年の「電力広域的運営推進機関」(OCCTO)や「電力・ガス取引監視等委員会」の設立、2016年4月から小売りの全面自由化の実施、2020年4月に予定される発電と送配電の分離(東電は2016年4月に先行実施)など、電力システム改革のための一連の施策が実施・予定されている。2012年に導入された自然エネルギーの普及を促す固定価格買取制度も、電力市場のあり方を変えていく方策の一つである。

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