自然エネルギー財団プレスリリース
改革の停滞は許されない:電事法改正を一刻も早く進めるべきである


6月26日、国会閉会に伴い、電気事業法改正案が廃案となった。昨年一年間かけて詳細な検討を行い、政権交代後も議論を積み上げてきた努力が、ここにきて葬り去られた。

政争に明け暮れる国会は、果たして日本の経済再生を本気で考えているのか、大きな疑問を呈したい。

特に、今まで、与党は、総理・大臣共に、電事法の改正に熱心な姿勢を示し続けてきたが、結果として、実はこの法案を通す気はなかったのではないかと疑わざるを得ない。そもそも、自民党内の抵抗で法案の閣議決定が2週間遅れてしまった経緯もある。

一方で、本日廃案となった電事法改正案が持つ問題点にも触れておかねばならない。

電力システムの改革においては、発送電の分離と競争の促進がもっとも肝要であるにもかかわらず、与党内部会や衆議院経産委員会での議論の過程で、制度の進捗を遅くしたり、独立した監視機関について肥大化を極力避けるなど、制度の実行よりも既存の電力会社の利益を優先するような修正や付帯決議が行われている。

廃案は大いに残念だが、次の国会では、より改革を前倒しする積極的な議論が行われることを心から望む。

電力システムは、国のエネルギー供給の根幹であり、経済体制の基本を成すものである。現在の垂直統合型地域独占の電力事業は、多様化する需要のあり方や分散型電源への適応を阻害している。

改革の停滞は許されない。次の国会では、国会議員一人一人が、日本の再生のための、透明で強靱な電力システムの構築を念頭に議論に臨むことを希望する。




自然エネルギー財団は、電力システム改革の議論に際し、「持続可能な電力システムの創設に向けた7つの提言」を発表しています。
全体の提言書については、 こちら をご覧ください。

提言の骨子:

  • 迅速かつ確実な電力システム改革の実行
  • 電力システム改革遂行のためのロードマップ策定と「第三者委員会」の設置
  • 独立した新「規制機関」の早期設置の必要性
  • 広域系統運用機関の役割の明確化・強化とESCJの早期の見直し
  • 小売全面自由化にあたっての非対称規制の導入
  • 卸電力市場活性化の実効性確保
  • 原子力事業のあり方の検討


プレスリリースはこちらから (PDF)

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